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週間ランキング、全日空のA380を迎え撃つ、ハワイアンの戦略1位

[総評] 今週の1位は、今年5月からA380型機によるホノルル線の運航を開始する全日空(NH)、を迎え撃つ立場のハワイアン航空(HA)の現状と今後の見通しをお伝えした記事でした。もともとはパートナー同士であった2社ですが、HAはいまや日本航空(JL)へと提携先を変えており、さらによりマクロ的視点で考えると最近は東南アジアの航空会社が就航(して撤退を決定)したりしていますし、ハワイへの空はなかなか荒れ模様の印象です。

 ちょうど本稿を書いている22日(猫の日だそうで)には来夏予定の羽田再拡張に向けてHAを含む米系4社が路線の就航計画を明らかにしており、当然といえば当然ながらここでもホノルル線は話題に出ていますので、A380の大波が過ぎれば落ち着きが戻ってくるとは限りません。

 各社が申請した羽田路線についてはすでに掲載していますが、HAが3便を希望しているほかデルタ航空(DL)も2便の計画を提出しており、当然すべてが認められる可能性は極めて低いものの、ずいぶんな規模といっていいでしょう。

 申請書類はすべて英語で4社合計800ページを超えるため、流し読みとも言えないほどの目の通し方しかしていませんが、成田路線の振り替えの意思を表明しているのはどうやらユナイテッド航空(UA)だけのように見えます。しかし1日24便、1便あたり200席としても4800席、年間で175万席ですから、もちろん需要は双方向にありさらに第三国も見込めるとはいえ、成田路線をそっくり維持できるとは到底思えないところです。

 そのあたりの詳細は、これから少しの間続くことになる米系各社の「我こそ一番」論争でも見えてくると思いますが、日本側の配分を含めてまったく目が離せません。

 (それにしても、貴重な50枠の半分をどかんと米国に献上してみたり、あるいは第3位のようにNHがロシアへいきなり2路線も就航を検討してみたり、なんというか1便1便の重みであるとか、その活用による業界の発展だとかを真面目に考えるのがばかばかしくなってくるのは私だけでしょうか。)

 ちなみに、A380型機の生産終了が決まったということが報じられていますが、飛行機と縁のない生活をしていたところから2007年4月にトラベルビジョンへ入社し、直後に成田へ同型機の取材をしに行ってその存在感に度肝を抜かれたことを鮮明に記憶しており、大変残念というのが率直な気持ちです(当時のフォトニュース)。

 シンガポール航空(SQ)の初号機が、わくわくしながら待ち構えていたら悪天候で中部にダイバートしたことも今となっては楽しい思い出で、あるいはルフトハンザ・ドイツ航空(LH)機材に乗る機会を得た際に、ミュンヘン空港のラウンジから2階へ直接搭乗する便利さに感動したことも今でも思い出します。

 また、大きいものには夢がある、からかどうか知りませんが就航当時は記念ツアーの反響も良かったと聞いた覚えがあり、対してB787型機はそういった記憶はありません。しかし今やこういう結果なわけで、夢や興奮といったエモーショナルな側面と航空輸送のビジネスはあまり親和性が高くないということでしょうか。蒸気機関車のように活躍する旧型飛行機というのも聞きませんし、なんとなくそんな気がします。

 社会人生活の始まりに衝撃を受けた存在がまさかこんなに早く未来を失うとはと、思わずつい感傷的になってしまいましたが、まぁまた日は昇ります。大きな航空機への思いはAn-225型機で満たすことにしましょう。(松本)

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