民泊検討会、規制改革踏まえ議論、次回取りまとめへ

検討会の様子  観光庁と厚生労働省は6月10日、「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」の第12回会合を開催した。この日は事務局が、このほど閣議決定された「規制改革実施計画」について説明し、計画を踏まえて修正した制度案を提示。加えて、新制度の整備に伴う旅館業法の改正について、改めて改正を検討すべき項目を示した。

 規制改革実施計画では、民泊を「ホテル・旅館を対象とする既存の旅館業法とは別の法制度」で規制することを明確に定義し、届出や登録を所管する行政庁を決定するよう求めている。サービスを提供するための「一定の要件」に関しては、年間提供日数上限について「半数未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する」などと明記。このほか、民泊サービスの分類に関して、家主居住型の民泊を「個人の生活の本拠である(原則として住民票がある)住宅」と規定した。

 これまでの議論や同計画などを踏まえて事務局は、届出や登録を所管する行政庁を、国土交通省と厚生労働省の2省による共管とし、地方レベルにおいても関係部局間で連携する案を示した。具体的な管理方法については検討を進める。年間提供日数上限についても具体的な日数の検討を進める予定。ただし「180日は諸外国と比べて多い」とする宿泊業界と「180日ではビジネスとして成り立たない」とする不動産業界で意見が分かれているため、報告書では「上限を明記しない可能性が高い」との考えを示した。

 加えて修正案では、これまでの議論を踏まえ、「一定の要件」として簡易宿所と同様に民泊の宿泊者1人あたりの面積基準を3.3平方メートル以上とすることについて、委員の賛同を得た。このほか、委員からは地方自治体などの負担を減らすため、無許可営業の実態調査や違反者の取締り業務の一部を民間業者に委託すべきとの声が挙がり、事務局は検討を進める姿勢を示した。

 旅館業法の改正案については、事務局がこれまでは分かれていたホテルと旅館の営業許可を一本化することを提案。委員から特段の反対はなかった。

 次回の会合は6月20日に開催し、最終報告書の取りまとめをおこなう予定。その後、月内には正式に報告書をまとめる。民泊に関する新法と、旅館業法の改正案については、年度中の国会提出をめざす。