トップインタビュー:エミレーツ航空日本支社長のエンゲルマン氏

世界最大の旅客機であるA380型機を90機発注するなど他社とは一線を画す戦略で成長を続けているエミレーツ航空(EK)。日本には2002年に就航し、現在は成田と関空への路線をデイリー運航しており、さらに今年6月には羽田にも週7便で就航を計画している。日本からドバイに週21便、しかもA380型機とB777型機を投入するEKは、これらの座席をどう埋めるのか。ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)日本・韓国地区支社長を務めた経歴を持つなど日本市場への造詣も深い、EK日本支社長のリチャード・エンゲルマン氏に話を聞いた。


-そもそもエミレーツ航空とはどのような航空会社でしょうか

リチャード・エンゲルマン氏(以下敬称略) 1985年にドバイ経済の活性化をめざして設立された。最初はドバイをハブにして3地点のみに路線を開設していたが、それから約30年で198機で129都市に乗り入れている。このうち15路線は2012年の就航であるなど継続的に成長しており、現在は国際線旅客数では世界一の規模となった。

 また、EKはフルサービスといわれる分野に多額の投資を続けてきている。LCCやハイブリッドキャリアなどとはまったく異なる。最高級のラグジュアリーなサービスを提供することが我々のねらいだ。EKが他の航空会社と異なる点はEKが24期連続で黒字を達成しているところで、それにより投資が可能になる。

 弊社CEOのティム・クラークは、EKが世界的に著名なナイキやマイクロソフト、アップルといった企業と肩を並べて、世界で認知度の高いブランド上位100位に航空会社として初めて入ることをめざすと宣言している。


-エミレーツ航空の路線展開の特徴をお聞かせください

エンゲルマン EKの保有機材の中核をなすのはエアバスA380型機とボーイングB777型機。A380型機はそのサイズとキャパシティで知られており、豪華なファーストクラス、ビジネスクラスも特徴だ。

 この機材は、発着枠が限られているなど制限の多い空港で1便あたりの座席供給量を多くできる。また、シャワーを備えたファーストクラスなどは、業務渡航市場で非常に高い評価をいただいており、他社との差別化につながっている。A380型機は、こうした特徴が活かせる路線で運航する。

 一方、B777は運航頻度の高い路線、よりレジャー需要の高い路線に投入することが多い。また、貨物の需要が多い場合にも適応する。その意味では関空線は良い例で、レジャーと貨物の需要が旺盛だ。これに対して成田線は関空線よりも業務渡航需要が強く、A380型機が適している。

 また、例えばオーストラリアとイギリスを繋ぐいわゆる「カンガルールート」は、典型的なA380型機による運航路線だ。運航できる便数が限られる一方で“ボリューム”がチャンスになる場合、A380型機が適している。