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スペシャリスト・インタビュー<ロサンゼルス>:アムネット 北野佐和さん

エキスパートとして胸をはれるよう、日々情報を収集

 ニューヨークに本社を置く旅行会社アムネット。ニューヨーク留学後、本社で2年半、東京支社で2年務めている北野さんは、4年半を通してツアーオペレーター部門での手配を担当しています。米国東部には詳しい北野さんですが、西部の知識が足りないと昨年LAトラベル・エキスパートを取得。ロサンゼルス・トラベル・アカデミーの研修で初めて訪れたロサンゼルスの印象や研修の手応えなどについてお話を伺いました。
                                  
                                 
アムネットツアーオペレーター課 主任
北野佐知さん
2009年度(第32期)LAトラベル・エキスパート認定



Q.ニューヨークへ行こうと思ったのはなぜですか

 大学の学部が国際関係で、国連の仕事に興味があったのでニューヨークに留学しました。留学後は縁あってアムネットに入社し、2年半勤務しました。ニューヨークの魅力は、あの小さい中にさまざまなものが凝縮されている点です。経済の中心地であり、各国の文化が混在している面白さがありますね。通りを歩いているだけで、立ち並ぶ店が中華からイタリアンに変わったりして、ユニークな街だと思います。


Q.ロサンゼルスのスペシャリストを受けた理由は

 ニューヨーク本社にいた時は、米国の手配が東海岸、西海岸、ハワイの3エリアに分かれていて、私は東海岸を担当していました。ところが、東京では米国の手配はハワイを含む全土を扱います。これまで、何度か西部の都市を訪れたことはありましたが、西部全般の知識が東部に比べると弱かったんですね。ロサンゼルスは西部のゲートウェイなので問い合わせも多いですし、これはもっと勉強しなくてはと思い、エキスパートの取得に挑戦しました。東京支店でも、毎年先輩が研修に参加していたので、そうした資格があることや研修の内容を知っていた、というのも背景にあります。


Q.ロサンゼルスの印象は

 これだけ米国に携わる仕事をしていて、ロサンゼルスに降り立ったのは、昨年の研修時が初めてでした。印象は、“元気”で“明るい”というロサンゼルスのパブリックなイメージそのままでした。また、“広い”というのも感じましたね。ニューヨーク同様、地下鉄やバスも発達していますが、メジャーなエリアが点在していて、アクセスにはやはり車があるといいな、というのも正直な感想です。

 メジャーなエリアも、場所によって特徴がまったく異なるのもロサンゼルスならではだと思います。ダウンタウンやハリウッド、ビバリーヒルズはもちろん、サンタモニカのようなビーチエリアがあったり、ハリウッドヒルズやマリブ地区にはウォーキングトラックがあったりと、1つの都市にさまざまな表情があるのも魅力です。また、ミュージアムも充実しているなと思いました。


Q.研修はいかがでしたか

 ロサンゼルスの場合は、現地4泊6日の研修を受けることで資格が認定されるのですが、うわさ通り内容の濃いものでした。2日目から4日目までは、午前中にカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)で授業を受けます。エリア別に学んでいくのですが、例えばハリウッドとサンタモニカについて勉強したら、午後はそこへ視察に行く、というスケジュールになっています。やはり、実際にその場所を訪れるという体験は貴重なものでした。どのくらいの距離でどの程度時間がかかり、そこにどういう魅力があるのか、1日を通してトータルで学ぶことができました。


Q.エキスパートの資格は日常の業務に役立っていますか

 研修中は、UCLAでグループワークにも取り組みました。例えば、ショッピングを中心とする母娘旅のツアーを組むとか、企業視察グループの日程を考えるといった内容です。東京に戻った後、ワーク通りの問い合わせがきて、ワークの内容がそのまま役立ったことがあります。旅行会社の方に手配上のアドバイスを求められることも多いのですが、当社はロサンゼルスにも支店があるので、わからないことを問い合わせることもできます。でも、自分の知識だけで対応できることも多くなりました。

 また、研修では日本各地から参加する旅行会社の方々と一緒になりましたが、皆さんのお話が興味深かったですね。例えばお客さまの問い合わせで多いものは何かとか、お客さまはどういうことを不満に思うのか、といったことを聞くいい機会になりました。私たちは普段、旅行会社とのやりとりが主で、直接お客さまと接することがないですから。


Q.これから資格を取る方へのアドバイスをお願いします

 研修は、現地に長くいらっしゃるベテランガイドの方などが講師となり、授業もテキストも日本語で用意されます。ロサンゼルスがどういうエリアで構成されている、といった基本的なことから学べますが、ある程度の知識は頭に入れていった方がいいと思います。何しろ覚えることがたくさんあり、試験もありますから。

 また、エキスパートに認定された後も、胸をはってエキスパートだといえるようになるには、日々の勉強も必要だと思います。都市は目まぐるしく変わっていきますし、情報収集は必要不可欠ですね。私も、新聞などで米国関係の記事を読むようにしたり、ロサンゼルス支店のスタッフのブログをチェックしたりと、できることをこつこつとやっています。


Q.ロサンゼルスでのお勧めの過ごし方を提案してください

 研修中に訪れたなかで惹かれたのは、パサデナ地区です。歴史的な雰囲気をとどめる街並みに有名ブランドショップがあったりして、街歩きが楽しそうですよね。学術的な貴重な書物が公開されているハンティントン・ライブラリーには、なぜか植物園があって、ここを散策するのもお勧めです。ロサンゼルスの違った一面を見ることができるエリアだと思います。


ありがとうございました


【参考】LAトラベル・アカデミーとは
 ロサンゼルス観光局とロサンゼルス国際空港はUCLAと提携し、1998年に世界の旅行会社社
員を対象にした講座「ロサンゼルス・トラベル・アカデミー」を開発しました。4泊6日の現
地研修に参加するスタイルで、ロサンゼルスの旅行業界で実績を積んだプロによる授業やグ
ループでの企画練習、現地視察などが盛り込まれています。研修終了後、試験合格者には
UCLAエクステンションコースの終了証書が授与され、「LAトラベル・エキスパート」に認定
されます。現在、日本のおけるエキスパートは560名で、観光局の公式サイトにリストが掲
載されています。近年、ロサンゼルス・トラベル・アカデミーは年に1回秋頃に実施してお
り、募集人数は約20名です。