トップインタビュー:ジャルパック代表取締役社長の高橋哲夫氏

  • 2008年7月9日(水)
品質の競争力を高め、顧客に選ばれる商品の提供をめざす

ジャルパックはこの数年、日本航空の路線縮小などから厳しい舵取りを余儀なくされてきた。ただし、昨年度は通年で取扱人数を増加につなげ、浮上しつつある。こうした中でこのほど、新たな代表取締役社長に高橋哲夫氏が着任した。日本航空時代には、パッケージツアーで事前購入型運賃を利用した新たな商品展開を唱えるなど、旅行業の造詣も深い。今後の方針を聞いた。(聞き手:編集長 鈴木 次郎)
                                                           

−この数年、コスト削減に取り組み、その成果が表れつつある。今後はどのような方針で運営していくか

高橋哲夫氏(以下敬称略) コスト削減は終わりなきもの。コスト効率を高め、生産性をあげる工夫は、常に緩めることなく取り組むべき課題だ。この数年に取り組んだような、(労務体系等に踏み込んだ)規模ではなく、日常の中で継続して取り組んでいく。

 一方で、今後の旅行商品を企画、造成し、お客様にいかに買っていただけるものとしていくかが重要だ。これからは特に、旅行商品の質を重視していきたいと考えている。良いものをつくるため、海外支店も含めた総合的な力を動員し、あらゆるところでアイデア、知恵を絞って商品を造っていく体制にしたい。

 その方向性において、商品を提供する側も「人」であることを強く意識したい。特に、社員をはじめ、ツアーに関わるすべての人たちの力が十二分に発揮されるよう働きやすい環境をつくっていくことが求められる。その上で、新しい商品や企画をどんどんと世の中に出していきたい。あらゆる業種、産業で技術革新が進んでいるが、旅行でも新しいツアー商品が出来ると考えている。「開発チーム」を立ち上げて、ジャルパック・ブランド誕生45周年、会社設立40周年の来年に向け、新しいツアーを核に取り組んでいきたい。


−海外旅行全体の足元の環境は厳しい。その中での経営的な目標は

高橋 上期の出足は鈍く、お客様の数だけで前年と比較するとおおよそ8割を超えるほど。この出足は収入にも響いてくると考えられる。下期に上期の挽回をはかるよう取り組むが、下期だけで巻き返しを図ることは、現在の環境からすると非常に厳しいだろう。旅行を取り巻く全体の状況は厳しく、燃油サーチャージ、中国での動向、物価高が進行する中、海外旅行を楽しむ方が減っている。だからこそ、海外旅行に行くお客様に満足していただくことが、今後の飛躍に向けた大きな要素だと考えている。今期の経営状況は厳しいが、中期的には増収増益を実現したいと考えている。

 また、われわれが提供しているパッケージツアーのニーズは今後も必ずある。個人で手配する旅行も増えているが、出来上がった旅行商品を買っていただくためには、個人の手配では難しい旅行を実現するといった工夫や違いが求められる。旅行会社がパッケージ化する商品は、体験、ヘルス、エコなどをテーマにしていくことが重要だろう。将来的には、こうしたパッケージツアーを増やし、さらに質を高めていくことが必要だ。


−業界内ではホールセール事業から撤退するといった動きもあるが、この事業の将来性をどのように見ているか

高橋 ホールセール事業の将来性の議論は、われわれ(旅行会社)が決めるより、購入するお客様が決めていくものだろう。インターネットで購入する方法もあるが、説明をする、イメージが沸きにくい部分を分かりやすくサポートしていただくなど、店舗や電話で人と人が接する場が旅行商品の購買には必要だろう。

 ジャルパックが他のホールセール商品と異なる特徴は、利用する航空会社が日本航空であることだ。独自にリテール販売網を持っていないジャルパックの商品を、店舗の方々に売っていただくには、「JALブランド」をお客様に選んでいただくことが不可欠な要素になる。このためには、旅行の内容から高めていき、「JALブランド」が加わってお客様に評価をしていただける商品内容としなければならない。価格ではなく、品質の競争力をつけていきたい。特に、ジャルパックの「ファン」を増やしていくことが必要で、「そこそこ満足」というお客様ではなく、「次回の旅行もジャルパックで」という満足度を実現していきたい。

 このためには添乗員、現地のトランスポートなどジャルパックの商品に携わってもらうグループ内外の方々の力も含め、お客様に買っていただいた商品に対してきちんとしたサービスを提供するオペレーションがなされていなければならない。ジャルパックは価格が少し高いが、中身が良いといったお客様の評価を得るものでありたい。


−海外の拠点も今後の旅行商品の品質向上で、重要な役割を果たす。日本と海外でどのように連携していくか

高橋 海外法人はアウトバウンドとインバウンドを業務としており、1社で両方を手がけている企業もあれば、アウト、もしくはインのどちらかを手がけている。ジェイティービーへのジャルパック子会社の売却は、海外発日本行きの日本航空便の販売を担うもので、日本発の需要を取扱うこととはやや異なる側面があり、JALグループとしての判断がある。

 この点では、海外各社のインバウンドは拠点毎にお客様を受け入れるオペレーションにおいて、良い「仕込み」が重要であり、それぞれの機能を維持していく。インド、中東など魅力は高く、需要喚起の意味もあるが、海外拠点の進出の前に、有望なデスティネーションには新しい商品を市場に出していくことを先行しなければならない。こうした取り組みを一つひとつ積み重ねていくことが、今後につながっていく。


−このところ、インターネットの販路活用なども取り組んできた。今後はどのように対応していくのか

高橋 インターネットでパッケージツアーを購入する需要はあると思うが、画面で見るだけでは分かりにくいことも多いと思う。ただ、商品の購入場所、手段を決めるのは、あくまでマーケット、購入者だ。ジャルパックとしては、お客様の都合に対応できるように間口をきちんと準備をしておきたい。これはインターネットの販売を拡大する、といった話ではない。

 ジャルパックは、JALグループの営業上の戦略会社であり、インターネットでの販売の拡大という以上に、新しい商品を展開していくこと、そして総需要の拡大につながるような具体的な取り組みをしていかなければならない。総需要の拡大は1社だけでなく、ビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)のような各社が共同で市場を拡大する努力をしていきたい。


−パッケージツアー用の航空座席の仕入れ、価格など、ツアー造成上に必要不可欠な一連の課題にどのように取り組むか

高橋 現在、航空機が中型、小型機の導入が進み、観光用の座席は減ってきている。ただし、ロードファクターは100%ではない。便、あるいは曜日、方面によって空いている席を売ることがジャルパックの存在意義の一つでもある。このため、供給座席は減ってきているが、極端に減少するものではないだろう。

 一方、運賃は、航空会社の専権事項であり、航空会社が決めること。ただ、新しい運賃を提供すると、新たなマーケットをつくる可能性が広がる。例えば、中高年層や若い女性を対象とした運賃を設定し、それに旅行要素として観光、あるいはランド手配を加え、市場育成や拡大の相乗効果を高めていくことは考えられる。特に、日本航空はプレミアム・エコノミー、ビジネスクラスがあり、新しい運賃と観光の組み合わせは、まだまだ研究する余地があると思う。以前、日本航空時代に事前購入型割引運賃を使った旅行商品の造成を提案をしたことがあるが、「売れなかった」とも聞く。これについても、改良の余地があるか否かを含め、新しい商品を出す動きにつなげたい。失敗をしても、挑戦を続けていくこと、そして成功したものはそれを伸ばす努力を大切にしていきたい。

ありがとうございました。


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