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スペシャリスト・インタビュー 名鉄観光サービス 左合良光さん

付加価値高め、1円でも高い収益が得られる商品造成に努めたい

業界歴20年の左合さんは現在、仕入・手配と企画をする現在の部署に所属、今年7月にヨーロッパを担当するまでの約6年間、主にアジア方面を担当されていました。そんな左合さんから見たインドシナの魅力とは「行ってみたいと思わせる、力の強い素材のある場所」。とはいえ、名古屋でこの方面の商品が本格化したのは3年ほど前のこと。どのように市場に浸透させてきたのか、地域特性と共にデスティネーション開発のお話をうかがいました。

名鉄観光サービス株式会社
海外旅行部 副長 左合良光さん

 2006年度(第3回)デスティネーション・スペシャリスト インドシナ認定


Q.DSを取得したきっかけと感想を教えてください

会社から打診があり、自分としても力試しのつもりで受講する気になりました。今まで、韓国と中国以外のアジア全般の企画をしましたが、なかでもインドシナ方面、特にベトナムには渡航経験が多かったので、この方面を選んだのです。

インドシナは講座内で4つの国をとりあげていますが、弊社での取扱うのはベトナムとカンボジアのみなので、その他2ヶ国については初めての学習で大変でした。ただ、ラオスやミャンマーは、名古屋地区で広げていくデスティネーションとしてぴったりだと捉えていたので、よい機会になりました。

Q.なぜ名古屋地区で広げるデスティネーションになると考えたのですか

名古屋では、一般的に“みんなが行ってる”という定番コースが主力です。例えばインドシナ方面なら、「海の桂林」と呼ばれるハロン湾やアンコールワットを訪れたりする、特に世界遺産などのポイントを押さえたツアーが人気です。

そのため、一般的に旅行会社が新商品を出し、店頭でパンフレットだけで展開させるのでは、浸透させるのはなかなか難しい。インパクトがあるのはやはり、テレビや新聞などメディアの露出で、それで消費者の興味に火がつけば、ぱっと広まっていきますが…。そういう意味で、世界遺産はキーワードになると思います。ラオスにはルアンパバンやワット・プーの世界遺産があり、新デスティネーションとして魅力があると思います。

Q.インドシナ方面の旅行は、名古屋でどのように成長したのでしょうか

この方面はまず、メディア系旅行会社が主流で商品を展開、そこに弊社を含む他社も商品を出して市場を育ててきたといえるでしょう。弊社も以前からベトナムの商品展開をしていましたが、本格化したのはベトナム航空(VN)が中部国際空港に就航して定期的に催行することができるようになってからですから、3年くらい前でしょうか。

弊社では航空会社のプロモーションなどにあわせて商品造成し、2003年からは日本航空(JL)のチャーター便でハノイに行くツアーも始めました。約200人の機材の用機者となり、当初は年末のみでしたが、好評でゴールデンウィークにも広げて、計7回運航。私も責任者として同行しました。最初はハロン湾中心のハノイ・モノステイが人気の主流でしたが、次第にアンコールワットがメインとなるコースに人気が集中し、チャーターを続けるうちにツアー内容が大きく様変わりしていきました。

Q.多方面の企画をされた実績がありますが、インドシナ方面の魅力は何と捉えていらっしゃいますか

やはり、世界遺産のすばらしさです。アンコールワットにしても、ハロン湾にしても、お客様が「ぜひとも見たい」と思えるほど素晴らしいものがあり、それだけで相当の好奇心をかきたたせることができる訴求力の強い素材と思います。

特にアンコールワットは、その玄関口であるシェムリアップなどのホテル事情が格段に改善されており、質の良いリゾートタイプのホテルが増えています。ビーチや高原のリゾートとはまた異なり、亜熱帯の平原に点在する遺跡を見て、さらにホテルでリゾート滞在が満喫できるという、2重の喜びが味わえます。私は昨年6月、視察でこのようなリゾートタイプのホテルに宿泊したのですが、もう一度行ってみたいなと思うくらい印象に残っています。

Q.旅行の仕事の魅力は何だと思いますか。また、業界に対して思うことも教えてください

営業をしていた頃は仕事を受注した喜び、自分が提案した旅行内容やアドバイスに対してお客様からお礼を言われた時の喜びに尽きます。企画・手配という今の部署では、販売店からの依頼に応えることができたときの喜びでしょうか。営業現場と企画・仕入れ部門と立場の違う仕事やそのお付き合いの中で人生の勉強になることも多かった。本当にこの業界に入ってよかったと思います。

ただ、業界全体で賃金が低いのが残念なところ。それと、今は価格競争の激化を懸念しています。その風潮に流されないように、しっかりした戦略をたて、付加価値をつけて1円でも高く販売できる商品造成に努めていきたいと考えています。商売ですから、少しでも収益を上げることを目指しています。

中部圏市場は観光と食事のついたコースの方が人気があり、ホテルは快適で食事も美味しく、これだけまわれておトク、という内容重視のものが一番売れる傾向にあります。今後も工夫を凝らし「値打ちがある」と思われるツアー造成を追求していきたいと思います。

ありがとうございました。


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