現地レポート:ソウル、ロッテワールドタワー開業-観光に新たな流れも

  • 2017年5月17日

アシアナがFAMツアー
「スモール・ラグジュアリー」テーマに手軽で特別な旅行体験を推進

高さ555メートルのロッテワールドタワー(左)。構想がスタートしたのは1987(昭和62)年で、30年ぶりの悲願達成となった

 近年、さまざまな外交問題の影響を受けている韓国。韓国観光公社(KTO)によれば、昨年度の訪韓日本人は約230万人で、前年比25.0%増と4年ぶりに増加に転じた。かつては海外旅行初心者が最初の渡航先として韓国が選ばれたが、近年はリピーターの割合が増加。より深い、独自性ある旅行体験へのニーズが高まっている。従来は安価なスケルトンが中心だった旅行商品も、より韓国の文化を深く体験できる商品造成が求められている。一方で、北朝鮮がミサイル発射を繰り返すなど、懸念材料も増加している。4月下旬、KTOがアシアナ航空(OZ)、ロッテホテルと共催したFAMツアーに参加し、韓国の現状を視察してきた。


天空に浮かび上がる韓国一の超高層ビル

日本の9都市と結ばれているOZ。収容力の高いA330-300型機を投入するなど座席供給数拡大に努めている

 4月下旬の平日、成田発仁川行きアシアナ便は満席に近い搭乗率だった。近年のインバウンド拡大によって、日韓路線は慢性的な座席供給不足が続いている。そこでOZでは昨年来、機材の大型化や臨時便の運航を積極的に推進し、日本の旅行会社の販売座席確保に努めている。中韓関係が悪化し、中国政府が韓国への団体旅行を禁じたことも、日本市場を再評価する機運につながっている。

展望台へ直行する「スカイシャトル」。エレベーターであることを忘れそうな映像体験ができる

 近年、日韓線には数多くのLCCが就航したが、足元のゆとりなどの快適性はいうまでもなくFSCが優れている。OZ東京旅客支店の朴奎治氏は、「市場内のLCCの占有率が徐々に拡大しているが、FSCの特性を活かし、ビジネス層やシニア層の取り込みを積極的にはかりたい」と語る。現在は、ビジネスクラスのアップグレード企画も推進中だ。

スカイデッキはスリル満点。はるか下を行き来する人々が豆粒のようだ

 2時間ほどのフライトで仁川国際空港に降り立つと、普段通りのソウルの日常が待っていた。日本にいると、朝鮮半島についてはネガティブな報道が目に付くが、現地の雰囲気は大きく異なる。外務省が提供する「たびレジ」に登録するなど基本的な備えをしておけば、殊更危険を感じることはない。

 2017年の韓国最大の話題は、4月3日にグランドオープンを果たしたロッテワールドタワーだ。市南部の蚕室(チャムシル)に位置する地上123階、全高555メートルの超高層ビルで、完成したビルとしては2017年5月現在世界で5番目に高い。

 まずは、117階から123階にある展望フロア「ソウル・スカイ」へ行ってみよう。地下1階のチケット売場から、高速エレベーター「スカイシャトル」で117階へ上がる。エレベーターは天井と三方の壁面が一体化したスクリーンとなっており、ソウルの風景や美しい花火などの映像が映し出される。まるで空中に浮かび上がるような気分が楽しい。展望フロアまでの所要時間は、わずか1分だ。

高さ500メートルの風を感じることができるスカイテラス

 118階には、床に強化ガラスを使い地上約500メートルの空中を歩くようなスリルを楽しめる「スカイデッキ」がある。120階には屋外の「スカイテラス」もあり、風を感じながらソウルの絶景を一望できる。タワーのすぐ北を流れる漢江が、風景の良いアクセントだ。高層アパートの多さに驚くとともに、市街の北には北岳山などの山地も見える。ソウルが「背山臨水」(都は背後に険しい山、前に川や湖などの水がある場所が望ましいとする風水地理説)に位置する都市ということがよくわかる。