古来さまざまな民族が興亡を繰り広げた古都サラゴサには、ローマ時代の劇場や浴場をはじめ、イスラム建築の影響を受けた宮殿、ルネッサンス・バロック様式の建物や大聖堂など、多彩な文化の変遷を今に伝える史跡が数多く残されています。なかでもハイライトとなるのが世界遺産であるアルハフェリア宮殿とサン・サルバドル大聖堂でしょう。このほかにも市内には歴史遺産として貴重な建造物が点在しており、見逃せません。

 

アラゴンにある代表的な10のムデハル様式の建造物のひとつで、2001年に世界遺産に登録されています。11世紀にイスラム教徒によって建てられた宮殿が基になっており、全体的にアルハンブラ宮殿を縮小したような造りが印象的です。繊細な装飾を施した馬蹄型アーチや天井飾りは必見で、かつてのアラゴン王室やカトリック両王の部屋などを見学することができます。なお、現在この建物にはアラゴン州議会が置かれています。



2001年に世界遺産に登録された大聖堂で、地元では「ラ・セオ(La Seo)=(カテドラル)」と呼ばれて、親しまれています。ムデハル様式の外壁をはじめ、ゴシック様式の祭壇飾り、バロック様式の塔、それにネオクラシック様式のファサードなど、時代ごとの様式が融合した建物は、レコンキスタ(国土回復運動)の終結からアラゴン王国の形成に至る変遷の歴史を象徴しています。壁掛けのコレクションを展示したタペストリー美術館も一見の価値があります。



エブロ川が支流のウエルバ川、ガイェーゴ川と合流する地点に、ローマ帝王アウグストが植民地“カエサラウグスタ”を築いたのが、サラゴサの起源となっています。博物館内には発掘されたローマ時代の劇場が修復されており、実際に歩いて往時の様子を偲ぶことができます。さらにローマ時代の数々の出土品の展示を通じて、ローマ帝国がサラゴサに残した軌跡をたどってみるのも、歴史のロマンを感じさせるひとときとなることでしょう。


旧市街の中心地ピラール広場に建つ聖母ピラール教会は、聖母マリアを崇拝するカトリック信者にとって重要な聖堂のひとつ。教会内部にはゴヤが描いたフレスコ画があるほか、アラバスタ(大理石)で造られた装飾的な中央祭壇など、芸術的価値の高い見どころが豊富にあります。高く聳え立つ塔やドームのスケールの大きさを感じるなら、エブロ川にかかる橋から教会を眺めるのがおすすめ。また、空高くそびえる塔からは市街地を一望することもできます。



ムデハル様式はサラゴサをはじめ、アラゴン地方に多くみられるイスラム様式を取り入れた建築や装飾スタイルのひとつ。レコンキスタ後もイベリア半島にとどまったアラブ人建築家が、イスラム様式をカトリックの建造物に応用したのが始まりで、13世紀から15世紀にかけて発展しました。各時代の様式が織り成す美しさだけでなく、異文化共存の傑作として、ユネスコの世界遺産にも認定されています。サラゴサには世界遺産の史跡以外にも、スダの塔やマグダレナ教会など、ムデハル様式の建物が多数点在していることで有名です。




ライトアップされたサラゴサの夜を彩るナイト・ツアー

<ナイト・ツアーの詳細>

所要時間:約1時間
料金:6.30ユーロ
運行時間:夏季21時30分~23時の間、30分おきに運行
     ※月によって運行されない時間帯もあります。
集合場所:聖母ピラール教会前の広場脇のドン・ハイメ通り
ルート: 旧市街からインデペンデンシア通りへ抜け、ライトアップされた町並みを眺めながら市外を廻り、闘牛場を過ぎ、アルハフェリア宮殿を見ながら旧市街へ戻るコース