万博といえば、ハイライトとなるのが趣向を凝らしたパビリオンの数々です。「水」をテーマにしたサラゴサ万博では、河川にかかる橋がそのまま展示場となった「橋パビリオン」をはじめ、ダイナミックにそびえたつシンボル的タワーの「水の塔」、アマゾン川など世界の5つの川の環境を再現した「河川アクアリウム」など、最先端技術を駆使した展示が楽しめます。さらに「極限の水」や「渇き」など、6つのテーマ別広場は、普段何気なく消費している水の資源的価値や危機的状況について知る、よい機会となることでしょう。このほかにもポプラ林の空間と光に着想を得たスペイン・パビリオンやジグザグの外観が一際目をひく会議場など、個性的な現代建築が織り成すアート空間を散策してみるのも楽しみの一つです。
サラゴサ万博の93日間にわたる会期中には、約3400におよぶショーやイベントが繰り広げられ、会場内は終始華やかなムードに包まれます。なかでも注目なのが、話題のパフォーマンス集団シルク・ド・ソレイユによるストリート・パレードや、「水と人間」をテーマにした屋内ショー、毎夜エブロ川に浮かぶ「氷山」を舞台に繰り広げられるマルチメディアショーでしょう。さらに参加各国によるナショナル・デーやあらゆるジャンルの演奏が楽しめる音楽の夕べ、スペインならではのフラメンコ・ショーなども見逃せません。さらに、この時期のスペインは観光客にとってもベストシーズン。日照時間が長く、夏の夜は屋外イベントを楽しむのに格好の季節なのです。
マドリッドとバルセロナのちょうど中間に位置するサラゴサは、豊かな水流のエブロ川の河岸に広がる水の都。今回の万博の開催地には、まさにぴったりの街なのです。市内には世界遺産に指定された建物をはじめ、多数の歴史的建造物が残されており、エブロ川に架かる橋から聖母ピラール教会を望む風景はまさに圧巻といえるでしょう。また、ライトアップされる夜間はロマンチックな古都の風情が漂います。レストランやバーが軒を連ねる「トゥーボ」と呼ばれる路地で、食べ歩いてみるのも旅の楽しみの一つ。万博開催に先立って、高速鉄道AVEが開通し、マドリッドおよびバルセロナから2時間弱でアクセスできるなど、利便性も大幅アップしています。