市場動向

「MICEとは?」⑦「COMMUNICATION」

 

MICE成功するMICEのロードマップの大切なキーワードのひとつが「COMMUNICATION」と言えるでしょう。私たちは寝ている以外の時間は、「COMMUNICATION」を余儀なくされます。 「最近、部内のCOMMUNICATIONがうまく行ってなくてね・・・。」「どうも顧客とのCOMMUNICATIONが問題だ・・・。」など、頻繁に使われています。

それではCOMMUNICATIONとは何か?と問われると、案外答えられないことが多いようです。

 

COMMUNICATIONの定義と原則

COMMUNICATIONを人間だけに特定すれば、複数の人間が相互に言語、表情、ジェスチャーなどを媒体として、意思、情報、感情等を伝え合うことと定義されます。

英語のCOMMUNICATIONはラテン語であるCommmunis(英語のCommon=共通の)、Communio(交わること、Comm=共に+unio=一致)とMunitare(疎通をよくする)を組み合わせてできた言葉で、複数の人たちが理解し、共有し、障害を取り除くというのがCOMMUNICATIONの目的であるとされています。

つまりCOMMUNICATIONを情報の発信者、受け手という視点で見た場合には、発信する側と受け手の側の双方が理解して、初めてコミュニケーションが成立するということになります。もちろん、COMMUNICATIONには言語だけではなく、感情の共有も含まれています。

MICEの精度を高め、MICEを創出していくためにはCOMMUNICATIONのメカニズムを理解し、COMMUNICATIONの原則に留意することが大切です。

 

<COMMUNICATIONの原則>

(1) 双方向の伝達の精度を高める

(2) 情報の共有を常に意識する

(3) 参加者の感情の理解

(4) 参加者の感情の鼓舞

(5) 正確で精度の高い情報の伝達

(6) 開示する情報の検証や注意

(7) 主催者の情報のポリシー etc.

 

Meeting Plannerの仕事とCOMMUNICATION

それでは、これらを実現するために具体的にはどうしたらよいのでしょうか? Meeting Planner(以下MP)の仕事を、COMMUNICATIONという視点で考えてみましょう。

(1) MPはMICEの目的に応じ、最大かつ最適な、主催者と参加者双方のCOMMUNICATIONを引き出すことができる目的地、開催場所、開催施設を選択します。

(2) 目的に応じた環境を考慮に入れます。

(3) COMMUNICATIONを高めるために、事前に参加者の特性や過去がどうであったかのリサーチを行います。

(4) MICE開催前に主催者と参加者のCOMMUNICATIONを円滑にし、MICEへの期待を高めます。

(5) MICE参加者間の信頼関係を高めるコンテンツ、プログラムを準備します。

(6) MICE顧客のプロセスなどのポリシーをしっかり把握します。

(7) 言葉や言語について、参加者が理解しやすくなっているか、工夫と注意を行います。

(8) 会場の設営、例えばステージのセッティングや、会議室のレイアウトなど、COMMUNICATIONが最大限引き出される仕組みを考えます。

(9) WEBなどのレジストレーションもシンプルで分かりやすいプロセスを考えます。

(10) MICE終了後も、参加者とのCOMMUNICATIONを継続することにより、次回のMICEの精度を高め、参加者数を増加させることを考えます。

 

MICEMICEの多くが、1回限りで終わることなく継続されていくことを思うと、MICEイベントの開催期間だけではなく、常にそのMICEに関係している「STAKEHOLDER」(主催者、参加者、MICEサプライアー等)間で、十分なCOMMUNICATIONの機会が継続されていくことは、MICEの精度を高め、アウトプット(成果)を良質にします。

MICEは多くの関係者を巻き込み、初めて完成するビジネスです。

常にCOMMUNICATIONの原則を忘れないことが必要です。

筆者:MPI Japan(Meeting Professionals International) 浅井新介 会長

プロフィール
MPI Japan(Meeting Professionals International) 浅井新介 会長東京生まれ。MICEビジネスのプランナーとして、イタリアへファッション・ビジネスの視察を実施、以後30年に渡り業界の経験を持つ。その後Westin Hotels 極東地区営業支配人、ユナイテッド航空代理店担当課長、法人営業部長、日本地区旅客営業部長を歴任しディストリビューションの整備にも貢献。スターウッドホテルズ日本の依頼により宮崎のシーガイア再生の為にセールスマーケティングの責任者として赴任。海外、国内の数千名規模のMICE獲得とその受け入れに成功し、リゾート再生に貢献した。