富士山登山鉄道の反対団体が26日に発足 大規模土砂流入に「神の言葉」と堀内茂・富士吉田市長

記者会見に臨む山梨県富士吉田市の堀内茂市長=16日、同市(平尾孝撮影)
記者会見に臨む山梨県富士吉田市の堀内茂市長=16日、同市(平尾孝撮影)

山梨県富士吉田市の堀内茂市長は16日の定例会見で、富士山登山鉄道構想に反対するための市民団体が26日に発足する予定であることを明らかにした。山小屋や富士山信仰、観光業界などの関係者らで構成し、反対の署名活動や県内外への情報発信を進める。

堀内市長は「これまで、登山鉄道に反対するのは私と富士吉田市議会という状況だったが、市民中心での反対運動となり、力強い」と語った。自身は団体の代表ではなく「顧問として参加する」という。

山梨県の長崎幸太郎知事が推進する富士山登山鉄道構想は、麓と5合目を結ぶ有料道路「富士スバルライン」上に、軌道を敷設して次世代型路面電車(LRT)を走らせるもの。一般の自動車やバスは通行させないことで、来訪者数をコントロールし、富士山の過剰な混雑を防ぐ狙いだ。

これに対し、富士吉田市が2月に、富士山の関係者の意見交換会を開催。ここで反対の意見が多かったことから、有志によって市民団体を設立しての反対運動を展開する方針を固めていた。市民団体では鉄道が新たな環境破壊につながることや、富士山の地盤が脆弱であり、鉄道は実現不可能だとして反対する。

大量の土砂が流入した富士スバルライン=9日、山梨県鳴沢村(同県提供)
大量の土砂が流入した富士スバルライン=9日、山梨県鳴沢村(同県提供)

さらに、今月9日の大雨でスバルラインで大規模な土砂流入があり、一部通行止めになっていることに対し、堀内氏は「鉄道構想を歓迎している人に、自然の驚異を見たかといいたい。富士山はそんな甘い山ではないという神の言葉ではないか」との見解を示した。さらに「毎年のように泥雪流が起きている。この現実をしっかりと受け止め自然の驚異を認識してもらいたい」として、鉄道構想の見直しを求めた。

会員限定記事会員サービス詳細