ANAが未就航地の神津島観光活性化に新事業 アプリでバーチャル旅行体験

「ANA GranWhale」のアプリではバーチャル旅行が可能=11日午前、東京都新宿区(重川航太朗撮影)
「ANA GranWhale」のアプリではバーチャル旅行が可能=11日午前、東京都新宿区(重川航太朗撮影)

ANAホールディング(HD)は11日、子会社が展開するアプリを活用して、未就航地の観光活性化に向けた新事業を開始したと発表した。同社が未就航地の観光事業を行うのは初めて。東京都神津島村、NTT東日本、テレビ朝日と協業する。

ANAHDのアプリ開発子会社「ANA NEO」は、バーチャル旅行を体験できるスマートフォンアプリ「ANA GranWhale」で、神津島の名所を巡れるようにした。すでに同サービスでは約60カ所の観光地を仮想的に訪れることができるが、今回新たに未就航地である神津島のデータを追加。現地の魅力を認知してもらう機会を提供する。

ポイントで滞在先回遊も

マイル事業を展開する子会社「ANA X」は、移動することでポイントやマイルを貯めることができるアプリ「ANA Pocket」の中に神津島村の情報を搭載。観光スポットや飲食店などにチェックインするとポイントがたまる仕組みを設けることで、滞在時の旅行者により娯楽のある回遊を促す。

今回協業を発表した神津島村は、東京都から約180キロ離れた伊豆諸島に位置する。空路では調布飛行場から約45分、海路では高速船で最短でも約2時間と、アクセス面での障壁は高い。

地方の観光業で課題とされるのが、世間からの認知度だ。「(世間に)知られていないのがネックになっている」と神津島村の前田弘村長も課題を語る。地方では行政だけで魅力を伝播することが困難な自治体もある。

こうした中、自治体の観光活性化で民間企業が果たす役割は大きい。ANA Xの徳田智昭取締役副社長は、「ANAグループが就航していないエリアでも、地域の活性化や旅行振興に貢献できるよう取り組んでいきたい」と強調し、航空業以外のサービスも活用しながら、地方創生・観光活性化に貢献していく考えを示した。(重川航太朗)

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