「拡張万博」効果含めて3兆3667億円 民間試算

工事が進む夢洲会場=令和5年12月19日午前、大阪市此花区(甘利慈撮影)
工事が進む夢洲会場=令和5年12月19日午前、大阪市此花区(甘利慈撮影)

民間シンクタンクのアジア太平洋研究所(大阪市)は24日、2025年大阪・関西万博の経済波及効果が2兆7457億円となるとの試算を公表した。観光客の消費支出単価を最新の数字に改めるなどした結果、昨年3月公表の前回試算から3698億円増額した。観光客が万博会場外のイベントや施設を訪れる「拡張万博」の取り組みが進めば、効果は3兆3667億円に上振れるとみている。

今回の試算では、増額となる万博の会場建設費と運営費、国内観光客やインバウンド(訪日外国人旅行客)による消費支出単価などを最新の数字とし、大阪府市による機運醸成や関連イベントなどの費用も盛り込んだ。これらにより、経済波及効果を示す生産誘発額(2兆7457億円)の内訳は、会場整備などの万博関連事業が1兆4102億円、来場者の消費支出は1兆3355億円となっている。

会場となる夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)以外のイベントによる拡張万博が実現すれば、国内客の宿泊数は「基準ケース」とした1泊2日から2泊3日に、インバウンドは3泊4日から5泊6日に増加すると想定。さらに、国内の日帰り客が20%増えることも見込む。

同研究所は、万博の需要を夢洲にとどめないことが重要とし、「関西各地で観光客にとって魅力的なコンテンツで盛り上げることで一層の日帰り消費や滞在型消費を促進できれば、経済波及効果を十分に高められる」とみている。(井上浩平)

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