和歌山・田辺市の旅行事業が前年度3・7倍 国内客数が過去最多 インバウンドも好調

JR紀伊田辺駅前の田辺市観光センターを訪れる外国人客=3月
JR紀伊田辺駅前の田辺市観光センターを訪れる外国人客=3月

世界遺産の熊野古道を巡るツアーなどを手掛けている和歌山県田辺市の一般社団法人田辺市熊野ツーリズムビューローが、令和4年度の旅行事業売上高をまとめた。2~3年度は新型コロナウイルス禍で大きく減少していたが、4年度は前年度の約3・7倍に増加するなど回復傾向が顕著になった。従来は外国人客が多かったが、国内の需要を開拓した結果、国内客数は過去最多に達した。

ビューローは田辺市や田辺商工会議所などが出資する官民共同の観光プロモーション団体で、平成18年に設立。22年10月から始めた旅行事業では、熊野古道を巡るツアーが欧米やオーストラリアからの観光客の人気を集め、旅行事業売上高は令和元年度に過去最高の約5億2181万円に達した。しかし、コロナ禍で2年度は約7146万円と急減。3年度はさらに低い約6287万円に落ちた。

4年度は、国内需要を開拓したことと、インバウンド(訪日外国人客)の回復が始まったことから売上高が増加。3年度の約3・7倍の約2億3187万円に達した。

国内向けの取り組みとして市立4小学校の5年生を対象にした森林環境学習ツアーを実施したりスポーツ合宿の宿泊施設の手配を手掛けたりして需要を掘り起こした。この結果、国内客はこれまで最も多かった平成29年度(4699人)を超える5798人となった。

一方、インバウンドは昨年10月に政府の水際措置が緩和されたことを受けて増え、熊野古道巡りのシーズンが始まる年度末の3月に急増。外国人客は前年度の140人から約26倍の3703人に伸びた。

令和5年度の4~5月も古道巡りのシーズンにあたりインバウンド需要は好調だった。ビューローの赤木靖人事務局長は「5年度は(旅行事業売上高が過去最高だった)元年度を上回るペースで、期待できる」と話している。

熊野古道でインバウンド急増 コロナ前上回る

会員限定記事会員サービス詳細