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逆境での新規就航、その勝算は-ZIPAIR Tokyo代表取締役社長 西田真吾氏

  ZIPAIR代表取締役社長の西田真吾氏 日本航空の100%子会社として2018年に設立され、コロナ禍中の昨年10月に旅客便の初就航を果たした中長距離LCC、ZIPAIR Tokyo。アジアと北米との架け橋となることを目指し、逆境のなかでも着実に就航路線を増やしてきた。旅行会社とも積極的に協業していきたいという同社の代表取締役社長、西田真吾氏に話を聞いた。インタビューは1月8日に実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

-就航開始の年が世界的危機の年と重なってしまいましたが、貨物便を含め徐々に就航路線を増やして来られました。2020年を振り返っていかがでしたでしょうか

西田真吾氏(以下敬称略) 当社は2018年5月に中長距離国際線LCCとしてスタートしました。航空会社を立ち上げるのに2年という期間はかなりタイトなスケジュールですが、社員たちの頑張りで順調に進み、当初の予定通りであれば2020年5月より商業運航を開始する計画でした。

 しかし、第4コーナーを回ったところで大荒れの様相に。準備は整ったがお客様がいないという状況に加えて、乗り入れ先政府の水際対策もあり、就航は6月に遅れることになりました。夢見ていた華々しいデビューとは真逆の厳しい状況ではありましたが、日本全体で見て今我々にできることは何かを考え、人がいなくても物を運ぶ仕事はあると、まずは貨物専用便での運航を開始しました。

 当初は「世のため人のため」のつもりの貨物専用便でしたが、始めてみるとほかにもプラスの側面が見えてきました。ひとつは航空貨物の需要が増えたために単価が上がった点で、収支的にはもちろん十分というレベルではありませんが、想定以上に助けられました。もうひとつは経営課題でもあったパイロットの採用です。会社を興した時点では世界的にパイロット不足が叫ばれていましたが、海外で勤めていたパイロットの方が日本に帰ってくるという環境になり、新規就航時の募集には多くの応募をいただきました。

 路線としては、バンコクに続き仁川にも就航しました。どちらも平時であれば混雑空港で発着枠が取りづらいのですが、航空需要の減退を受け、希望に近い時間を確保することができました。1機材で24時間内にバンコクと仁川を一往復ずつできるというダイヤは、LCCにとっては将来に渡って価値を持つ財産です。10月からは両路線で旅客扱いも始めました。

 また、不定期ではありますが12月からホノルルにも就航しました。いつどの路線の需要が戻るかはわかりませんが、性格の違う3路線を確保できたことで、いち早く回復に対応できる確率を高められたと考えています。

-これまでのご経歴やエピソードがあればお聞かせください

西田 飛行機が好きで、学生時代は羽田空港でアルバイトをしていました。就職活動の際は縁があって日本航空に入りましたが、入社後4年ほど空港勤務をした以外は財務部門や関連事業担当など航空事業以外での仕事が長く、航空会社らしい仕事には携わってきませんでした。それが人生の後半で航空会社の立ち上げに携わることができて、非常に嬉しく思っています。