週間ランキング、「旅行控え」の懸念にアクセス集まる、緊急支援情報も

[総評] 今週の1位は、観光庁長官の田端浩氏が定例会見で新型コロナウィルスの影響について語られた内容をお伝えした記事でした。記憶にある限り長官会見の記事が1位になったのは初めてではないかと思いますが、そうでなくとも相当珍しく、それだけ読者の皆様も記事タイトルの「旅行控え拡大に懸念」に共感されたということだと感じています。

 1月24日に“新型肺炎、海外旅行需要への影響はまだ見えず-湖北省に「渡航中止勧告」も”という記事を掲載してからまだ1ヶ月も経っていないわけですが、物凄い変化です。当時の一般メディアの記事を読み返してみると、1月24日0時現在までに中国本土で感染が確認された患者の数は830人であったそうですが、米ジョンズ・ホプキンズ大学システム科学工学センター(CSSE)によると2月21日12時54分現在では中国で7万5245人、全世界で7万6498人にまで増加しています。

 もはや我々にできることは、自らが感染したりウィルスをばらまいたりしないように気を付けて生活し、業務上ではできることをしながら嵐が過ぎ去るのを待つしかなさそうです。自宅で業務ができる場合は、出社しないと仕事にならない同僚たちには申し訳ない話ではありますが、率先してそうするべきでしょう。トラベルビジョンもそうしていくつもりです。

 ただ一方で、以前にも書きましたが自ら正確な情報を取りに行くことも忘れてはなりません。先ほどCSSEのリンクを貼りましたが、サイトをご覧になればお分かりの通り、これまでのところ1万8442人が回復されています。もちろん2247人の方々がお亡くなりになっている事実は変わりませんが、特効薬が未開発であるにも関わらず、7万6498人の感染者に対して4分の1近い方々がすでに回復されているわけです。

 もちろん、感染者も回復者もほとんどが中国の話であって中国政府の発表が正しいことが前提にはなりますし、しかも一度回復したと思ったらまた感染した例も出てきたということで、回復の数が増えていることのみを今後の展望のよすがとするようなことは避けるべきですが、そういう数字もあることを覚えておいて損はないでしょう。

 一般メディアが「感染者が◯人を超えました」「中国での死亡者数が◯人になりました」などとそちらの数字ばかり報じるのは悪意すら感じるところで、なぜ「回復者数は1万8000人を超えました」と同時に言わないのか、あるいは言えないのか、本当に疑問です。不安を煽れば煽るほど注意や関心を引きつけられるからなのかもしれませんが、そんな商売をしていて楽しいんでしょうか。同じ文脈で旅行控えだ、風評被害だなどと言っているのを見ると怒りを覚えます。

 第3位の記事では、主に中小企業への融資を担う政府系金融機関の日本政策金融公庫に、すでに約60社の旅行会社から相談があったことをお伝えしました。また同じ観光庁ですので1位にまとめましたが、観光庁の相談窓口の記事も10位以内に入りました。先ほど「嵐が過ぎ去るのを待つしかない」と書きましたが、際限なく待てるものではなく、1日でも早い終息が待たれます。そしてそれまでは、せめて旅行業界だけでも「そうは言っても回復されている方も多いようですよ」と発信することで、旅行控えを少しでも軽減していきたいものだと思います。

 それからもう一つ、今週は新型コロナウィルス関連でフランスの日本料理店が悪質な嫌がらせの対象になったという話題も聞こえてきました。お店のオーナーは中国の方ということでしたが、日本やアジア人に対する認識という意味では本質は変わりません。出張などで海外に行ってもそういった応対をされることはあり、やはりそれもひとつの現実でしょう。

 この数年のテレビは「外国人が絶賛する日本」的な企画ばかりで気持ち悪く感じていましたが、そういう評価ばかりではないということが認識されたのはある意味で良かったかもしれません。そして、当欄で何度も書いていますが「やられて嫌なことはしない」、これを強く訴えて今回は終わりとしたいと思います。(松本)

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