JAL、旅客システム刷新は「今後の事業のベース」-IT JAPAN Award受賞

  • 2018年7月12日(木)

「IT JAPAN 2018」では表彰式を開催。右が西畑氏  日本航空(JL)執行役員イノベーション推進本部長の西畑智博氏は7月11日、日経BP社が主催するフォーラム「IT JAPAN 2018」で、旅客基幹システム(PSS)を「アマデウス アルテア」に刷新する「SAKURAプロジェクト」に関する講演を実施した。雑誌「日経コンピュータ」が、同誌で取り上げた企業を表彰する「IT JAPAN Award 2018」で、プロジェクトがグランプリを受賞したことに伴うもの。西畑氏はシステム刷新の道のりを振り返るとともに、20年度までの中期経営計画を説明し、「システム刷新は18年以降の事業のベースになるもの。刷新によりプラットフォームのレベルが上がり、さらに良いサービスを提供するためのスタートラインに立つことができた」と重要性を強調した。

 同氏は本誌の取材に応え、今年の2月に発表した、中期経営計画を修正した「ローリングプラン2018」で、利用者に対する出発前から到着後までのサービス強化を掲げていることに触れた。その上で、「今まではシステム的に難しいため、検討すらできなかったアイデアの検討がしっかりできるようになった。今後もグローバルでいろいろなサービスを開発したい」と意欲を語った。このほか、国際航空運送協会(IATA)のNDC(New Distribution Capability)の活用や、現在は販売していないというアンシラリーサービスについても、「検討の俎上に上げていく」とした。

プロジェクトのロゴはのれんをイメージ  JLは10年の経営破綻後、更生計画案で「ITシステムの刷新」を掲げ、11年から具体的な取り組みを開始。7年以上に渡り、約800億円を投資してアマデウスとPSSのプロジェクトを推進し、昨年11月に国際線・国内線のシステムのほとんどをアルテアに移行した。残る国内線チェックインシステムの国内空港への導入については、来年1月から3月を目処に作業を進めている。

 JLは1967年からPSSシステム「JALCOM」を自社運営しており、システムの刷新は約50年ぶり。西畑氏によると、業界環境の変化に旧システムが対応しきれておらず、機能強化のための開発コストも上昇。こうしたなか、コスト削減と競争力強化、収益性の拡大のためにシステムの刷新が必要と考えたという。なお、JLによると、アマデウスに決めた詳細な理由は非公表。11年にアマデウスをはじめ数社から提案依頼書を出してもらい、今までの実績などと総合的に勘案して決定した。

西畑氏 このほか、講演では西畑氏がSAKURAプロジェクトでの取り組みを紹介。「JLの成長のための経営判断がシステム刷新のトリガーだったため、現場の社員には抵抗感があった」と語り、JALグループだけでも1万2000人の社員に影響があったことを説明し、現場社員の理解を求めるため、3ヶ月かけて海外5ヶ所、国内16ヶ所の事務所を訪れて740名と直接対話したという。関連役員やパートナー企業とも連絡を密に取るほか、「SAKURAプロジェクト」のロゴやグッズを作成し、プロジェクトの認知度向上と、「皆で1つの船に乗っている」という連帯感を高めたことを成功の一因と振り返った。

 このほか、システムを小さなブロックに分け、ブロックごとに開発・検証を繰り返す「アジャイル開発」を実施したことを紹介。11月の提供開始を厳守するため、「100%完成していなくてもも優先順位をつけて判断し、作業を前に進め、ゴール時点で100%をめざす」ことに注力したことも説明した。

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