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ANAHD、早くもローリングプラン策定へ、米大統領選など受け

  • 2016年11月15日

片野坂氏  ANAホールディングス代表取締役社長の片野坂真哉氏は11月15日の定例会見で、2016年度から20年度までの中期経営計画について、来年1月を目処に「2017年度ローリングプラン」を取りまとめる計画を発表した。今般の米国大統領選挙の結果などを受けた世界経済の変化や、燃油市況の動向、AI(人工知能)などの急激な技術革新などを勘案した。片野坂氏は「中計策定から1年しか経っていないが、目まぐるしい環境変化があった」と説明し、「中計期間については変更しないが、足元の事業環境やチャンス、リスクを精査する」と述べた。

 米国大統領選挙で共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利したことについては、その後に円安が続いていることなどに言及した上で、「トランプ政権の経済政策などを踏まえて、今後の影響を見極めていきたい」と説明。そのほか現在の世界経済の動向については、中国や新興国などの動きを注視する考えを示した。技術革新については、新たな技術を活用して生産性の向上に取り組むとともに、新規ビジネスの開拓につなげたいとした。ANAグループは今年4月の組織改正で、全日空(NH)にICTを活用したイノベーションに取り組む新たな部門として「デジタルデザインラボ」を立ち上げている。

▽羽田米国線は「大変好調」、新路線は慎重に検討

篠辺氏  この日の会見ではNH代表取締役社長の篠辺修氏が、今後の路線展開について説明。米国線については昼間時間帯における羽田線の就航で「ネットワークづくりにはひと区切りついた」との見方を示した。就航後の利用状況については「ロードファククターは大変好調。予想通り順調なスタートを切った」とコメント。新規路線のニューヨーク線の予約率は82%、シカゴ線は冬の閑散期ながら64%で推移しており、両路線とも業務渡航需要のさらなる積み増しが見込めるという。

 一方、欧州線については相次ぐテロ事件によるレジャー需要の減退を踏まえて、慎重に今後の路線展開方針を決定する考えを説明。未就航の北欧や南欧への路線開設については「今後の検討テーマとしては挙がっている」と伝えた。

 そのほか、片野坂氏は記者の質問に応える形で、このほど日本とカザフスタンの両国政府が直行便開設に合意したことについて言及。同氏は一部メディアのインタビューで、中央アジア路線開設への意欲を示していたが「現時点では数年以内の就航計画はない」と明言した。一方で、今夏にはANAセールスのツアーでアイスランドへのチャーター便を運航したことをアピールし、「グローバルな視点でデスティネーションを研究し、できる限り(路線開設などの)具体化を進めたい」と話した。