宿泊施設はOTAとの協力でグローバル展開を-WIT Japan

  • 2016年7月28日

OTA経由と自社でバランス良く販売
さらなる訪日客受入には民泊も

パネルディスカッションの様子  OTAの台頭や訪日外国人旅行者の増加、民泊サービスの登場など、旅行市場の変化が進むなか、ホテルや旅館などの宿泊施設が生き残るためには販売方法の多様化が不可欠となっている。6月に東京で開催されたオンライン旅行業界の国際会議「Web In Travel(WIT)Japan & North Asia 2016」の「ホテル予約の変化」と題したパネルディスカッションでは、アゴーラ・ホスピタリティーズをはじめとする3社のホテルアライアンスやチェーンのパネリストが登壇。日本の宿泊業界の今後について意見交換をおこなった。

パネリスト
アゴーラ・ホスピタリティーズ 代表取締役社長 浅生亜也氏
オークラニッコーホテルマネジメント 営業本部マーケティング部マーケティンググループ副部長 長谷部昌也氏
ヒルトン・ワールドワイド グローバルeコマース統括本部長 日本・韓国・ミクロネシア地区担当 岩永拓朗氏

モデレーター
WIT創設者 イェオ・シュウ・フーン氏


OTAとの協業か競合か
世界展開に向けホテルごとに差

オークラニッコーホテルマネジメントの長谷部氏  パネルディスカッションでは多くの旅行者が活用するOTAと宿泊施設の関係について、3社がそれぞれの意見を述べた。オークラニッコーホテルマネジメント営業本部マーケティング部マーケティンググループ副部長の長谷部昌也氏は、インターネット販売などの新しい販売方法が増えるなかで、ホテルがグローバルでのインターネット販売などを独自でおこなう難しさを説明。「いかにスピード感をもって新しい方法に追いつくかが課題」と述べるとともに「だからこそ(OTAなどの)パートナーを見つけて、あらゆるディストリビューションにつなげてもらうことが重要」と語った。

 アゴーラ・ホスピタリティーズ代表取締役社長の浅生亜也氏も「ブティックホテルや独立系ホテルなどが単身でグローバルに展開するのは厳しい」との考えを表明。「OTAのサポートは欠かせない」と長谷部氏の意見に同意した。

 一方、ヒルトン・ワールドワイドグローバルeコマース統括本部長日本・韓国・ミクロネシア地区担当の岩永拓朗氏は、同社が今年2月に開始した、直販拡大のための過去最大のグローバル広報活動「Stop Clicking Around」について説明。同活動は、ヒルトンHオナーズ会員が同社サイトで直接予約をすると最安料金での予約やWiFi無料をはじめとするさまざまな特典が付くということを広く告知し、会員数と直販の増加を促進するためのもので、岩永氏は「まだ始めたばかりだがウェブサイトからの予約件数は増加している。ヒルトンの認知度は向上し、アプリのダウンロード件数なども増えており、世界中で成功している」と強調した。