ツアー商品独自の企画力で勝負-ホールセール特集(2)

  • 2016年3月29日

テロで需要減も、ヨーロッパ復活に向け積極展開
「安全・安心」に向けてツアー独自のサービス強化

羽田空港国際線旅客ターミナル(2月20日10時頃撮影)  海外旅行市場の回復にとって、足かせの1つになっているのがヨーロッパ市場の低迷。昨年11月のパリでの同時多発テロ以降、フランスをはじめとするヨーロッパへの需要が減少している。2016年度上期、各ホールセラーはヨーロッパ商品にどのように取り組んでいくのか。また、海外パッケージツアーの底上げに向けて、どのデスティネーションを強化していくのか。各社の商品展開をまとめた。(※取材は3月上旬までに実施)


潜在力の高いヨーロッパ、反転攻勢に向けて商品展開

 ヨーロッパを主力とする日本旅行は、パッケージツアーの販売額のシェアを、15年の60%から8ポイント減の52%に下げた。フランスを含むツアーについては、商品数を前年の6割程度にとどめる。FITは回復しているものの、パッケージツアーでは依然として苦戦が続くパリについては、価格訴求型のインターネット商品を出しながら、市場の動向を見極めていく考えだ。

 ヨーロッパではスイス、クロアチア、やオーストリア、チェコ、ハンガリーの中欧、北欧を特に強化。スペイン、イタリア、ドイツ、英国などへの送客にも引き続き注力していく。日本旅行東日本海外旅行商品部部長の阿部公宣氏は「フランスも徐々に回復している。今夏には前年並みに戻したい」と期待をかける。

 JTBワールドバケーションズ(JTBWV)は「逆風の状況だからこそ、欧州の商品数を削減せずに積極的に取り組んでいく」(取締役東日本販売本部長の青木哲朗氏)方針で、特にチャーターを強化。15年度の5機から16年度は17機に増やし、首都圏のみならず地方からもスイス、クロアチア、アイスランドなどにチャーターを実施する。さらに2名催行商品を多く設定。美術館などの貸切見学も継続していく方針だ。

 ジャルパックでは、ツアー数は減らさず、攻めの姿勢で展開する。最少催行人員が6名で、最大20名までの「ゆったり周遊シリーズ」と「ゆったり延泊シリーズ」では、新たに9コースを設定した。また、これまでは別のパンフレットで紹介していた個人旅行型の商品の一部を、機首商品に組み込む工夫もおこなっている。

 ANAセールスではANAハローツアーの「大人のゆとり旅ヨーロッパ」で22コースを設定したほか、ヨーロッパ初心者向けに「はじめてシリーズ」を8コース設定した。

 一方、近畿日本ツーリスト個人旅行(KNT個人)はホリデイのヨーロッパ商品の造成をクラブツーリズムに移管するという思い切った策を打つ。KNT個人代表取締役社長の岡本邦夫氏は、「添乗員付きツアーはクラツーの商品と共同催行し、2名催行の商品はクラツーで企画し造成。KNT個人は販売に徹する」と説明。催行率を高めることで利益を確保していきたい考えだ。