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旅行医学会、非接触体温計の旅客機内常備を提言へ、感染症対策で

  • 2014年11月23日

「SMART THERMO」   日本旅行医学会は感染症の国際的な拡大阻止を目的として、近日中に航空会社に対し、各旅客機内における非接触体温計の常備を提言する。機内の体調不良者に対して簡易に体温測定を実施することで、国際空港に設置されているサーモグラフィーなどでは検出できない感染者を早期に発見し、受診などを促すことが狙い。非接触の体温計を使用することで、エボラ出血熱など、接触によって感染する疾病の拡大も阻止する。

 同学会では現在、専務理事を務める千駄ヶ谷インターナショナルクリニック院長の篠塚規氏が中心となって、機内での対応方法などに関する提言案を作成しているところ。篠塚氏によれば、取りまとめ作業は既に終わりつつあり、早ければ今週にも発表できる見込みだという。

 提言においては、東京に本社を置くヘルスケア関連企業「MISORA」が販売する非接触赤外線体温計「SMART THERMO」の使用を推奨する予定。同製品はボタンを押すだけで、センサーが皮膚から出ている赤外線などを感知し、体温を測定する。希望小売価格は1台あたり1万5800円。

 MISORA執行役員副社長の藤原康則氏によれば、2012年の薬事承認を経て、昨年11月に発売した同商品は、センサーの精度の高さや手頃な価格が全国の医療機関などに評価され、1年間で1万台近くを販売。先行機種の「サーモファインダー Pro」と合わせると販売台数は約3万台に上るという。最近では日本旅行医学会が同商品を、世界保健機関(WHO)などに寄贈している。

 藤原氏は、現時点で航空会社が「SMART THERMO」を導入した例はないものの、今後は航空会社が全ての旅客機に非接触体温計を常備することが、「国際的なスタンダードになる」との見方を示した。また、国際空港の検疫所などにおける導入も進むとした。