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トップインタビュー:JATA会長 菊間潤吾氏

2014年は飛躍の年、すでに土台は整った
休暇制度など取り組み強化へ

 2012年6月の就任から1年半が経過した日本旅行業協会(JATA)会長の菊間潤吾氏。中小旅行会社出身の経験もいかし、旅行会社の存在意義を再確立しようと積極的な取り組みを進めている。2013年は訪日外客数が1000万人を突破するなど明るいニュースもあった一方、海外旅行は数の多い北東アジアが低迷。2014年も、政治問題や消費増税などの影響は予測できない状況だ。こうした中でJATAの長としてどのような手を打つか、旅行業の「飛躍」をめざす菊間氏に聞いた。


-2013年の旅行市場についてどのように捉えていらっしゃいますか

菊間潤吾氏(以下敬称略) 2000万人の足がかりの年にしたいという希望を持っていたが、中国、韓国の影響は非常に大きかった。想像以上に長期化してしまっている。海外旅行の成長というのは2ヶ国の数の増大によってきたところが大きく、海外旅行が主力の会員会社が厳しい数字を出しているのはこの影響だろう。

 一方で、欧米、中南米など長距離デスティネーションが元気になってきており、これはとても良いことだ。ASEAN諸国も、単に安・近・短ということではなくて深堀りしたような商品が増えてきている。それが人気を呼んで相対的にASEANが伸びているのも喜ばしい。

 JATAの活動を振り返ると、数字の上では苦戦したけれども、2014年から飛躍していくための舞台をしっかり整えた年だったという認識はある。それらをいかに力として飛躍していくか。

 舞台としては、例えばツーリズムEXPOジャパン(T-EXPO)は12、3年越しの話で、やっと整った。国連世界観光機関(UNWTO)との提携もその一環だ。また、政策検討特別委員会での中間答申もまとめられた。そこに掲げたことを含めて、前進していかなければなんの意味もないが、個人的にはそういった準備を整えた年だったという感覚がある。


-2014年は飛躍の年との位置付けですね

菊間 数がどうなるかという話は別にしても、例えばJATAの会員が訪日旅行に積極的に取り組む土台作りとして品質認証制度(Tour Quality Japan)を用意した。訪日旅行に関しては、国が掲げる数値を単に追いかけるだけではなく、JATA会員のシェアをどう高めるかなど、JATAとしての目標値も設定して色々な事業展開をしていく。

 訪日の目標設定を何にするのかはこれから検討していくが、JATAとしてはこれまでにない試みだ。取扱人数が100名以上の会社がこれまでは何社だったのがこう増えた、あるいは2000万人時代にはJATA会員のシェアがこの程度、といった想定がなければならない。航空座席もJATA会員が訪日を含めて取り組んでいかないと先細りする可能性が大きいだろう。

 JATAとしては、会員会社が積極的に取り組む土俵作りとそれに対するセミナーなど間接的なサポートなどを、どのように組み立ててやっていくかが課題になる。

 また、市場動向については中国、韓国について2014年もこのままいくのか、あるいはどこかの段階で何らかの手をうって成長路線に戻すのか。我々の手の届かない問題だと諦めず、少しでも環境を良くするために民間ベースでも手を打たなければいけないなと思っている。何もしないで、政治的に安定するまで待とうなどと悠長なことは言っていられない。逆に、中長距離デスティネーションの伸びはあり、中国、韓国が元に戻れば再び成長路線にきっちりと行く。