トップインタビュー:JATA会長 菊間潤吾氏(後)

安易なものづくりからの脱却へ
知識や商品力の向上に取り組む

-業界全体での価値の向上が実現しても、質の高い商品として再びコモディティ化してしまう可能性はないでしょうか

菊間 価値創造にも色々な深掘りの仕方がある。会員各社としても、それらを追求していかないと時代にマッチングしないという意識が出てくるだろうし、「ここまでは他社も到達して横並びになってしまう、その時に自分たちはどうするべきか」という考え方が出てくるのは当然だと思う。

 商品造成に対して、旅行業界ほど投資していない産業はないのではと私は感じている。他産業では、色々な新商品を開発するのに各社ともにものすごい苦労をし、予算も投じてやっている。他社のパンフレットを集めてきて作り上げるというような商品づくりではなりたたない。商品造成に対して、もう少ししっかりしたことを考えないと旅行会社は忘れ去られていくという危機感を持っている。

 他産業では商品の満足度についてアンケートやモニターなど色々なことをするわけだが、添乗員付きのツアーであればお客様の反応をすべての場面で把握できる。本当は、どんどん商品力を向上できる環境にある。しかし、一方で添乗員は旅のパーツの一つだから安く仕入れられた方が良いという考えもあって、満足度や商品力アップを望めなくなっている状況がある。

 つまり、製造者として、極めて安易なものづくりをしているのではと思う。安易なものづくりの中に高収益を求めて、経営体質を改善しようとしても無理だと考える。こうした状況に対して、チームヨーロッパをきっかけに、商品造成にプロフェッショナリズムを備えられるようにしたい。