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プリンスホテル代表取締役社長 小山正彦氏

  • 2021年1月7日

 当社の前身ともいえる箱根土地株式会社の創業から100年を迎えた2020年でしたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、これまで経験したことのない1年となりました。人々の生活様式は一変し、これまでの常識はみるみるうちに塗り替えられていきました。ホテル業界においても、本来であれば東京オリンピック・パラリンピックで世界中から日本にお客さまが訪れているはずだった2020年は、全く予想と異なるものとなりました。

 このような状況の中、当社では独自の衛生・消毒基準「プリンス セーフティー コミットメント」を策定し、お客さまに安心してご利用いただける体制を整えました。この取り組みを、Webサイトやメディアを通じて広く周知を図るほか、イメージムービーを制作してわかりやすくお客さまにお伝えしてまいりました。

 新型コロナウイルス感染症によってお客さまの行動変容・価値変容が急速に進みました。これからもさらに変化していくでしょう。当社は万全な安全体制で営業をすると同時に、このような時だからこそ私は従業員に向けて「今やるべきこと」「今しかできないこと」に挑戦するように常にメッセージを発信し続けました。お客さまが安全・安心に当社施設をご利用いただくため「私達は今何ができるのか」ということを全従業員が考え、新しいアイデアも次々と生まれていきました。ニューノーマルにおける宴会やレストランの新たなスタイルの開発や、企業のテレワーク制度導入を背景としたワーケーション商品等も企画しました。そして何よりも大きかったのが、このような状況の中で各ホテルがそれぞれの地元の自治体や企業の皆さまと一致団結することができたことだと考えています。これまでもさまざまな場面で地域の皆さまと協力をしてきましたが、コロナ禍においては地域一体となった誘客がより重要となるなか、地元の生産者の皆さまや観光業の皆さまと一緒になって考え、地域の食材や観光資源の魅力をホテルスタッフが再度学び、それを発信することができました。

 そして当社は、このような状況の中でも「デジタルとリアルの融合」「グローバルブランドへの成長」を合言葉に、未来へ向けた歩みを続けています。2020年は、3月に「ザ・ホテル青龍 京都清水」を、9月には「東京ベイ潮見プリンスホテル」を、そして10月には新ブランド「プリンス スマート イン」の1号店となる「プリンス スマート イン 恵比寿」を開業しました。2021年は1月18日には「プリンス スマート イン 熱海」、夏には「プリンス スマート イン京都四条大宮」の開業を予定しております。更に2022年には沖縄・宜野湾に「プリンスホテル」ブランドのホテルを開業するほか、「プリンス スマート イン」ブランド2ホテルを開業する予定です。海外においても、2021年春以降に中国・広州にて「ザ・プリンス アカトキ」ブランドのホテルの開業を予定しており、Afterコロナを見据え海外展開も強化し、グローバルホテルチェーンへの挑戦を続けていきたいと考えています。

 新型コロナウイルス感染症の収束は未だに見通せない状況ですが、今こそ官民一体となり地域の皆さまと力を合わせ、各地の魅力を発信していくことこそが最も重要な施策であると考えております。当社の最大の武器である「人財」と「現場力」をフル活用し、日本の観光産業回復の一端を担ってまいります。