週間ランキング、1位はJTBの人材事業、2位は香港現地レポート

[総評] 今週の1位は、またもJTBの人材関連事業でした。昨年末に発表された「自律創造型人財」の育成サービスが年間ランキングで2位に入った時には驚きましたが、これはもう、理由はさておき高い注目を集めるものなのだと受け入れるしかなさそうです。

 とはいえ、今回は宿泊施設など観光産業関連の事業者に対して人材を派遣するという話で、旅行業との親和性が高い印象です。以前、添乗業務の入っていない添乗員を繁忙期のホテルに派遣したところ、もともとホテルの様々な場面を知悉していてトラブル解決の経験も豊富であるため大活躍した、という成功談を聞いたこともあり、確かに色々と可能性がありそうです。

 個人的な意見ですが、ホテルの現場で一定以上の経験を積んだ人材は、別の業種でも成果を残しやすいと考えています。なぜかというと目の前、あるいは電話の先のゲストの表情やしぐさ、声色から何が求められているかを見抜き、それに対して自分たちが持っているリソースのなかから何を提供すれば最大の満足を得られるかを考えて工夫する訓練ができている可能性があるためです。

 もちろん人によりますし、ホテルによってはそうしたサービス提供を求められることもありません。しかし、それでもサービスマインドは比較的高い傾向にあるはずで、さらに就職先を考える若者が華やかさから憧れを持ちやすい業種でもあり、そういった意味でホテルから旅行会社といった転身はチャンスがあるのではないかとかねて思っていました。

 さて続いて2位には、先々週の当欄で滞在中であることをお伝えした香港の現地レポートがランクインしました。タイトルの通り本当に拍子抜けで、感じたままに書きましたが多少なりとも雰囲気は伝わりましたでしょうか。

 そもそも2014年の雨傘運動の時も、あるいはミャンマーで2007年に日本人ジャーナリストの方が亡くなった時も、そういったタイミングの取材は毎回拍子抜けというか肩透かしをくらったような気分になるものです。2008年に四川省で大地震が発生した後もそうで、たしかに被害を受けた地域では痛ましい爪痕を目にしたものの、実際には四川省の面積が日本の国土の1.3倍もあって「本当の被災地」以外は揺れてすらいないため、痕跡を見つけようがなかったことを思い出します。

 ニュースを通して得る情報だけだと、その国や地域がまるごと大変なことになっている印象を受けてしまいます。私のように何度か経験していてもそうなのですから、そうでない方々はなおさらでしょう。

 もちろん今回の香港も、滞在中に自分たちがいた場所で何もなかったことは事実である一方、抗議活動が収束したわけではなく、そこを否定するつもりはありません。とはいえ、レポート中でもご紹介した「香港ツーリストライブマップ」などを活用すれば影響のない場所を訪れて普通に満足度の高い旅行をすることは可能であり、それも否定されるものではないと信じます。

 ちなみに、今回の香港の記事については、掲載後に読者の方から「新型肺炎が旅行業界に影響を及ぼすなかで取り上げるのは不適切ではないか」といった趣旨のご意見をいただきました。もちろんそうした状況も考慮はしたものの、現地施設の閉鎖(や本土への鉄路の運行停止)は記事中でも触れている通りむしろ予防措置ということでしたし、さらにいうと旅行業界が勝手に自粛をするべきではないとの考えから掲載を決断しました。ご理解をいただけますと幸いです。

 そしてその新型肺炎については、先週金曜日に取材をしてその時点で海外旅行については大きな影響は見られていないとお伝えしましたが、ご存知の通り事態はこの1週間で大きく変化しました。率直にいって変化が早すぎて取り上げる方法とタイミングを掴めていない状況ですが、頃合いを見て需要動向のアップデートのほか、旅行会社としての対策、BCPなどについても取材しお伝えしていきたいと考えています。

 なお、当欄を含めてトラベルビジョンはお陰様で多くの方にお読みいただいており、先ほどのようなご意見や応援のお言葉をいただく機会も増えてきています。なかなか皆様にお返事することができておりませんが、この場を借りて無礼をお詫びするとともに御礼申し上げます。今後ともご愛顧賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。(松本)

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