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ハワイの歴史を楽しむショーが登場−MICEでも活用できる場に

ハワイの歴史を楽しむショーが登場−MICEでも活用できる場に ワイキキを舞台にした新しいコンセプトの劇場エンターテインメント「ワイキキ・ネイ(Waikiki nei)」の公演が、2008年7月から開始されている。ワイキキ・ネイは、ハワイ王朝最後の女王リリウオカラニの時代から現代までのワイキキの歴史的シーンを、ハワイの伝統的なチャント(祈り)や歌、古典フラと最新の映像や舞台技術で描いたユニークな劇場作品だ。オアフ島で初めての本格的なエンターテイメントの登場で、早速、1000名規模の団体も訪れるなど、注目が高まっている。(取材、文:横堀淳、写真:(c) Martin J. Dignard、(c) John De Melllo)

歴史、海や自然に包まれるハワイの文化を「ショー」で表現

歴史、海や自然に包まれるハワイの文化を「ショー」で表現  「ワイキキ・ネイ」の「ネイ」とは、ハワイ語で「愛しの」、または「今」という意味がある。80分間のショーは、迫力のある空中パフォーマンスとライブミュージックによるドラマチックな演出で、幻想的な世界に引き込まれた。ショーは「クプナ」という長老役が案内人となり、ハワイ文化のスピリチュアルな魅力と都会的な観光地へ移り変わる「ワイキキ」の歴史がひもとかれる。

 自然と共生して漁業や大地の恵みを得ていた生活から、1920年代から30年代にかけて、アメリカ本土から訪れる観光客をどのように受け入れていくかを描く。文明を受け入れる楽しさの一方で、近代化の波を風刺的に描きつつ、ワイキキを訪れる旅行者と島の人々が触れ合う場面を、ユーモアを交えながら表現。昔の良さであった自然との共存と観光開発のはざまで、戸惑いと楽しみに揺れ動く人々の気持ちが伝わってくる。観光客がハワイに持ち込んでくるバイオリンやタップダンスなどをハワイの人々が楽しんでいく姿を見ていると、現在のハワイに根づく「アロハ」文化を強く共感できるだろう。来年にはハワイがアメリカの「州」に制定されてから50周年を迎える時期だけに、ハワイを振り返るよい機会になり、このショーの注目も高まるだろう。ハワイを訪れるリピーターに、ハワイの文化や歴史にさらに興味を持ち、理解を深めてもらうこともできそうだ。

 このショーは、マウイ島で人気のミュージカル「ウラレナ」で成功を収めたハワイの有名プロデューサーのロイ・トクジョー氏、ロジャー・パレント氏、そしてラスベガスで多くの人気ナイトクラブをプロデュースしてきたタッド・デューガル氏の3人が手掛けている。オアフ島でハワイ文化を描くショーといえば「クリエーション・オブ・ポリネシアン・ジャーニー」や、「マジック・オブ・ポリネシア」に代表されるようなディナー付きのエンターテインメントがある。ただし、「ワイキキ・ネイ」がこれらと一線を画す理由は、構成や音響、映像、そして設備が、世界基準に照らしても「最新」であることだろう。ラスベガスやニューヨークで上演される本格的な「ショー」という印象が強い。

 また、脚本や演出などの構成には、カメハメハ・スクールズやビショップ博物館をはじめ、ハワイの歴史、習慣、文化における各界の専門家や研究者のアドバイスも受けたそうだ。ワイキキ・ネイはハワイの伝統や精神を次世代へと受け継いでいく姿を描くという点で、エンターテインメントの枠を超え、文化継承の上でも重要な役割を持っているといえるだろう。

 なお、ショーは英語で演じられる。ただし、日本人の観客には入場口で日本語による「あらすじ」が配布されており、英語が分からなくてもショーの内容はおおむね理解できるので安心だ。分かりやすいストーリー展開で、世代、性差を問わず幅広く受け入れられることだろう。

最新技術を導入した舞台装置、ハイライトのハワイの海に注目

最新技術を導入した舞台装置、ハイライトのハワイの海に注目 このショーのハイライトは、芸術的なビジュアル効果とハイテク舞台装置でダイナミックに描く数々の海の場面。巨大な波に挑むサーファーや、客席の目の前にせり出して迫るカヌー、高さ18メートルの天井から繰り広げる水中バレエのシーンなど、力強さと魅惑的な海の世界が観客を魅了する。また、ハワイ出身ミュージシャンによる美しい歌声とさまざまな楽器で奏でられる臨場感あふれる音響効果が、この作品に高い芸術性を加えている。

 こうした場面の演出をしているのが、最先端の舞台装置。「ワイキキ・ネイ」の上演するために設計された750名収容のショールームは、ハワイのエンターテインメント史上で最高額となる2200万米ドルを投資し、さまざまな工夫を施している。例えば、アクロバットなどの演技を可能にするため、天井の高さを18メートルに拡大。これにより、ワイヤーで吊られたパフォーマーが観客の頭上を秒速3メートルのスピードで飛ぶ装置や、ステージ上での演出に使う回転式プラットフォーム、上下左右に移動して波の動きを造り出すUFOとよばれる円盤など、あらゆる最新技術が導入された。もちろん、出演者たちも重要。総勢22名のキャストとバックミュージシャンたちは、ハワイ出身のダンサーやミュージシャン、アクロバット、ハワイでもトップクラスの人選で構成している。

会場がナイトクラブに変身、MICE対応も期待

会場がナイトクラブに変身、MICE対応も期待  ワイキキ・ネイのショールームは公演が終了すると、高級ナイトクラブ&ラウンジ「レベル4」として、深夜4時まで営業するナイトスポットとなる。また、この会場は団体での貸切利用もできるため、各種イベントでの活用にも期待されている。貸切りは、日中の劇場施設使用、ワイキキ・ネイの貸切り、公演後のナイトクラブ「レベル4」の貸切りと主に3つのパターンが想定されている。すでに、「レベル4」としてはオーストラリアの団体が2回、約1000名規模のインセンティブ・グループがプライベート・イベントで利用したという。

 最新の音響や映像、そして劇場特有の段差のあるステージがあるため、ホテルのボールルームや既存の他目的ホールとは異なるイベントの企画に対応できる。またワイキキの中央という立地もメリット。ワイキキのホテルに分散して滞在するような大型団体でも、ロイヤルハワイアン・センターが集合場所となるため、分かりやすさ、交通の便など利点は多い。

「ワイキキ・ネイ」
開催場所:ロイヤルハワイアン・センター4階、ロイヤル・ハワイアン・ショールーム
公演時間:80分、毎週月曜を除く午後6時00分〜毎日公演
料金:大人 49ドル〜99ドル、子供(3歳〜11歳):29ドル〜79ドル、3歳未満は無料(全て税別)
ウェブサイト:http://www.waikikinei.com

ロイヤルハワイアン・センターはハワイ固有の文化と縁が深い施設

ロイヤルハワイアン・センターはハワイ固有の文化と縁が深い施設  ロイヤルハワイアン・センターはワイキキ中央部、東西3ブロックにまたがり、展開する施設面積約2万8800平方メートルの広さの複合商業施設。日本人観光客にはショッピング、ダイニングで馴染み深いほか、早くからフラ・ダンス、レイ・メイキング、ウクレレ、ハワイアン・キルトなどハワイのカルチャー・プログラムが無料で体験できる場所としても知られている。

 大規模な改装は今年4月に終了し、4階建ての敷地建物内に110軒のショップ、レストランが軒を連ねる。中央のコンコースから、ワイキキのランドマークでもある「ピンク・パレス」が見えるようになり、雰囲気が向上した。あまり知られていないが、ロイヤルハワイアン・センターはビショップ博物館やハワイアンのための私立校「カメハメハ・スクール」を運営する「ビショップ財団」が運営しており、ロイヤルハワイアン・センターの収益の一部は、ハワイ固有の文化や人々を保護、援助するためにも使われている。