ケーススタディ(主催者の声に学ぶ)

シリーズ「MICE市場はどう変わったか」

⑥ 2009年のキーワードは“Change”

MICE(財)日本交通公社が昨年末に発表した2009年の海外旅行者数は、1,520万人であった。前年に比べて5%の減少だという。2007年(前年比1.4%減)、2008年(同7.5%減)と3年連続の減少が見込まれている。

妥当な予測とは思われるが、景気減退だけが要因だろうか。それは、高度経済成長期に形成された「成長神話」の共有化の解消であると私は考えている。その傾向が最初に顕れたのは、1990年代後半の就職氷河期に社会へ出た若者たちだった。この世代の消費行動が、1マイル程度の生活圏内で買い物を済ます生活スタイル“ワン・マイル・コンシューマー”と称され、また、クルマや海外旅行への関心が薄くなったことも、大きな変化として注目を集めている。若者たちのこうした変化は、自分たちよりも上の世代の変化を鋭く察知したことから起こった変化と考えるべきではないだろうか。

MICE“Change”という言葉に象徴される大きな期待とともに、オバマ氏がアメリカ大統領に就任し、彼がこの未曽有の難局をどのように乗り切るのか、あるいは乗り切ることができるのかは分からない。しかし、彼が大統領選挙で声を大にして唱えた“Change”という言葉に多くの日本人も共鳴し、喝采を送ったことは間違いない。

それはまさしく、日本人が自らの変化をしっかりと受け止めようとする意志を示すもののような気がしてならない。そして、日本人のモチベーションの質にも大きな変化が見られるようになる。当然、インセンティブ・ツアーに求められるものも、これまでとはまったく異なるものとなるはずだ。

こうしたマーケットの変化をいち早く的確に捉え、自ら変化することができるかどうかが、ツーリズム関連企業それぞれの将来を占う鍵になるのだと思う。MICEの世界にとっても、2009年が“Change”の年となることは間違いない。

筆者:(株)ツーリズム・マーケティング研究所主席研究員 磯貝政弘氏

(株)ツーリズム・マーケティング研究所主席研究員 磯貝政弘氏