ケーススタディ(主催者の声に学ぶ)

国際会議の開催地、アクセスよりも
インフラ、サポート、土地の魅力を重視


ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)のISO事務機械国内委員会では昨年度、カードや事務機械、ユーザインタフェースの国際標準を検討する国際会議に、50回以上出席した。MICEのなかで国際会議は「M=ミーティング」、「C=コンベンション」にあたり、グローバル化にともなって今後ますます増えると予想される。JBMIAの櫻井穆氏に、国際会議の開催におけるポイントを聞いた。

社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)
標準化センター ISO/IEC担当部長 櫻井 穆(さくらい あつし)氏
 

社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)

1960年に発足した日本事務機械工業会が2002年から改称した団体。プリンタやシュレッダ、コピー機などのオフィス機器メーカーを中心に37社が正会員、21社が賛助会員として参加。ビジネス機械・情報システム産業の総合的な発展と事務能率の向上に寄与することを目的に、生産、貿易、流通や消費についての調査や情報提供をする。そのうちISO事務機械国内委員会はビジネス機械分野の国際標準化活動を担う。

各国の代表団体が持ち回りで主催

 ISO事務機械国内委員会では毎年、各国のTC(テクニカル・コミッティー)やSC(サブ・コミッティー)と呼ばれる国内委員会が集まる各国際総会(参加者:約40人~70人)と、年を通して複数回開催されるワークグループごと(同:約10人~30人)の国際会議に出席している。

 各会議は主要参加国が持ちまわりでホストを担当することになっている。総会で日本がホスト国となる順番は、参加国の数により異なるが、およそ5年から10年に一度。ワークグループごとの会議では、年に一度の割合だ。

 ホストになると、会議に適した開催都市を検討し、ホテルや会議場を確保するほか、場合によっては関係機関を見学するためのエクスカーションの準備が必要となる。その際、旅行会社へは「国内では頼むことがない」との考えで、利用していない。海外での会議に出席する場合はそのホスト国にすべてを委ね、航空券の手配のみを「多少の無理が利く」ということで、長年同じ旅行会社にまかせているという。

 2007年度における海外での主な開催地は、以下の通り。期間はいずれも2日から4日程度である。総会は、ドイツ・ベルリンとカナダ・ケベックで開催。日本では総会を松本、福岡で、ワークグループの会議を京都、松本、福岡で開催した。

2007年度の主な海外の開催地

ドイツ(ベルリン/コンスタンツ/ミュンヘン/ストゥツガルト)
フランス(パリ/ムードン/マルセイユ)、オランダ(ハーレム)
イギリス(ロンドン/エディンバラ)、スペイン(バルセロナ)
アメリカ(オースティン/ノースブルック)、スイス(チューリッヒ)
韓国(済州)
南アフリカ(ポート・エリザベス)
ナミビア(スワコプムンド)
シンガポール
ニュージーランド(クライスト・チャーチ/ウェリントン)
カナダ(ケベック)

開催決定にいたるポイントとは

 櫻井氏は、会議開催の決定基準について、「開催能力がある都市を見極めるには、第一に出席する人数が泊まれるだけのホテルあるか」とし、以下のポイントをあげる。

 「会議場から近距離であれば複数のホテルに分かれても構わない。また、参加者の出費を抑えるために、当然ながら宿泊費も大いに考慮し、大抵の場合は特別レートを設定してもらう。その際、朝食込みの料金設定が便利。次に部屋の広さも基準にするが、優先順位としては狭くなければいいといったところ」。

 また、会議場においてまず何よりも重要なのは、ワイヤレス・ランの有無である。

 「参加者は全員、PCを持参するので、ワイヤレスでインターネットにアクセスできなければ会議場としては失格。会場にない場合は業者に頼んで設置することになり、別途費用が発生するがそれでも手配する。プロジェクタも必須」。

 櫻井氏は以上を基本事項としており、プラスアルファで費用面での公的なサポートをあげる。一方、空港からのアクセスについてはこだわらない考えだ。

 「たとえば高松では、外国人の宿泊に対して助成金が出される。また、松本では築400年の歴史を誇る松本城という遺産がある上、市営のコンベンション施設が整っている。どちらの都市も国際空港からアクセスがいいとはいえないが、それはさほどの問題ではないだろう」。

満足な集いとするために

 目玉となる観光素材があることも大きなプラスアルファだという。ホストとして参加者に満足してもらうことは、日本の存在感をアピールし、会議での発言権を高めることにもつながる。

 「国際会議のメンバーはタフ。外国慣れしているともいえ、各国の主要な都市にはもう何度も訪問している。したがって、少し珍しい地方都市などが歓迎される。私自身も含めて好奇心旺盛なメンバーが多く、面白い経験となるならば、少々不便なアクセスはむしろ楽しむ傾向がある」と、櫻井氏。新しい都市は期待が高まるので、電車で1時間以上のアクセスでも気にならないとし、「たとえば日本では、あえて定番の京都を外して島根県の松江で実施したことがあるが、空港からは遠くても大変喜ばれた」という。

 また、海外での開催地では「ドイツの地方都市ニュルンベルグが印象に残っている。小さな都市なら会議後のちょっとした時間でも歩いてまわれるし、街に個性があるところが良い」とのこと。

 さらに、各国の代表が集うレセプションへの配慮も必要だ。ワーキンググループの会議は人数的にも小規模で予算も小額だが、総会では会場を1週間は確保し、会議の初日にレセプションを催す。それだけの開催能力と財力を備えていることがホスト国の条件であるため、すべてのメンバー国がホストを務められるわけでなく、開催国はある程度限定される。

 「これまででは、中国がホストとして開催した北京ダックの老舗店でのレセプションが印象に残っている。レセプションは、ホスト国の事情によりカフェテリアでの立食スタイル程度の場合もあるが、日本で開催する場合は日本らしい料理を中心としたコースを提供するようにしている」。

 今回のインタビューは日本での開催ノウハウがメインテーマであったが、旅行会社の手配や送客の際の参考としたい。

取材:福田晴子