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2013年の市場展望とキーワード-12年の動向から読む、JTBFシンポより

  • 2013年1月15日

 公益財団法人日本交通公社(JTBF)が2012年12月21日に開催した「第22回旅行動向シンポジウム」で、JTBF主任研究員の黒須宏志氏は12年の海外旅行者数を前年比10.8%増の1850万人、13年は2.7%増の1900万人と予想。13年は「12年ほどの伸びは期待できない」と述べた。しかし、12年は市場に新たな動きが生まれ、黒須氏は13年の市場動向につながるものとして説明していた。これらをうまく取り入れることで、取り扱い増加をめざしたい。今回は黒須氏の発表内容から、海外旅行を中心に2013年の旅行市場のキーワードをまとめた。


新客層動き出す
地方発、長期滞在需要なども

 黒須氏によると、実は12年の海外旅行市場には従来とは異なる傾向があった。

 JTBFの旅行動向調査で各年の「前回の海外旅行年」をみると、09年は「1年前」が約600万人だったが11年は1000万人弱に増えた。一方、「5年以上前」は09年の約500万人から11年には約200万人に減少。「今年が初めて」の人も若干割合を増やした。「市場の主体は6割を占める高頻度層(海外旅行経験10回以上、年2回以上)だが、12年は3年に1回行くような低頻度層の旅行頻度が高まり、旅行人口全体の旅行頻度が上がった」と説明する。

 黒須氏は12年の市場について、「東日本大震災の反動もあるが、前半はそれ以上に伸びた」と指摘。震災後の伸びを支えてきたのは、ビジネス需要の回復に伴う40代から50代の男性と、20代女性だ。特に20代女性の出国率について「ずば抜けて高い」とし、「円高などをきっかけに新しい世代が入ってきた。シニアも伸びているが、20代女性に比べると脇役的だ」と、若い世代への注目を促す。

 旅行者数の方面別の伸び率では、ベトナム、シンガポールが20%超と高い伸び。次いでハワイが15%超となっており、「東南アジアとハワイなど座席供給量が増えたところが貢献」と説明する。座席供給量との関係では、地方需要についても出国者数の増加を指摘。北海道の出国者数は約30%、九州は40%以上などと伸びており、「地域のポテンシャルがある証明だ」として今後の可能性を示唆した。

 このほか、新たな傾向として滞在期間の長期化にも言及。09年以降は15日から1ヶ月以内の伸び率が前年の10%以上で推移しているのに対し、15日以内の滞在は減速傾向にあることから、旅行形態として留学やロングステイなどの可能性も提示した。特に「グローバルを求めて迷いながらも進もうとする若い世代」の可能性が高いとし、「来年は『留学元年』という人もいる。親子留学や学生や社会人の各種研修、ボランティア、若い世代のロングステイなども注目すべきポイント」とした。