航空業界団体「入国制限の撤廃を」 日本と中国を批判
【ロンドン=佐竹実】世界の航空会社が加盟する国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ事務総長は17日、日本政府に対して新型コロナウイルス対策の入国制限を撤廃するよう求めた。各国がコロナ規制を相次ぎ緩和・解除する中で、日本と中国は依然として厳しい水際規制を敷いている。国境を閉じ続けることは回復の足かせになるとして両国を名指しで批判した。
IATAによると、アジア太平洋地域の3月の国際線旅客需要はコロナ前の17%だった。ウォルシュ氏は「60%まで回復した世界的な傾向をはるかに下回る。政府の規制が原因であり、規制が解除されれば観光業界の回復や経済への波及効果が期待できる」と指摘した。同地域の回復の遅れの要因として挙げたのが日本と中国だ。
ウォルシュ氏は日本について「渡航を許可する段階的措置を取っているが、全ての観光客や渡航者への再開に向けた明確なプランがない」と指摘した。ワクチン接種者の隔離や到着時の検査、1日の入国制限を撤廃することから始める必要があるとした上で、「日本政府に対し、国境の開放と復興に向けてより大胆な手段をとることを求める」と述べた。
中国については「中国政府がゼロコロナのアプローチを続ける限り、国境が再び開かれることはないだろう。これは地域の完全な回復の足かせとなる」とした。欧米などは重症化率が下がっていることから、規制を緩和・撤廃している。日本と中国は感染者の数にこだわり、規制解除や経済回復が遅れている。
日本政府は水際規制を段階的に緩和しているが、動きは遅い。4月からは入国者の制限が1万人に引き上げられたが、1万人はコロナ前の7%にすぎない。日本国内で感染が広がる状況で、外国人だけを拒み続ける科学的根拠は乏しい。世界保健機関(WHO)も渡航制限は「効果的ではない」として日本などに緩和を促している。