バイデン政権、キューバ政策見直し 送金・渡航など緩和、トランプ時代から転換

【ワシントン=大内清】バイデン米政権は16日、キューバへの渡航や送金に関する制限を緩和するとともに、キューバ人への米国ビザ(査証)発給数を増加させると発表した。昨年の政権発足時から進めていたキューバ政策の見直しを受けた措置。トランプ前政権下での強硬路線からの転換を鮮明にした形だ。

キューバをめぐっては、民主党のオバマ政権が2014年、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長(当時)と関係正常化を進めることで合意し、外交関係の再開などが実現した。しかし、17年に就任したトランプ前大統領が制裁強化に方針を転換。バイデン大統領は就任前、キューバ政策を再び融和路線に引き戻す考えを示していたが、キューバで昨年発生した大規模な反政府デモが同国政府によって弾圧されたことなどを受けて明確な政策変更を打ち出せずにいた。

今回の措置について与野党議員などからは、早くも「独裁政権への誤ったシグナルだ」との指摘が相次いでいる。これに対し米政府高官は16日、米国からの送金がキューバ政府を経由しないようにするなど「人権侵害を助けることにならない方法をとる」と強調した。

会員限定記事会員サービス詳細