タイ航空、5期ぶり最終黒字 債務整理・リストラで
ウクライナ情勢で先行き不透明に
【バンコク=村松洋兵】経営再建中のタイ国際航空が28日発表した2021年12月期の連結決算は、最終損益が551億バーツ(約1930億円)の黒字(前の期は1411億バーツの赤字)だった。債務整理やリストラによる利益で5期ぶりに黒字転換した。ウクライナ情勢や新型コロナウイルスの感染再拡大の影響もあり、先行きはなお不透明だ。
22年12月期は各国の渡航制限の緩和を受けて業績の改善を見込むが、足元では下振れリスクが強まっている。タイ航空幹部は記者会見で、ウクライナ情勢について「燃料価格の上昇につながる可能性がある」と述べた。燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が上乗せされ、旅客需要の回復に悪影響を及ぼす懸念がある。
タイ航空はロシアとウクライナへの直行便を運航していないが、主要市場である欧州の消費者心理が冷え込む可能性もある。
21年12月期は旅客需要の低迷で本業は苦戦が続き、営業損益は197億バーツの赤字(同354億バーツの赤字)だった。タイは21年7月から外国人観光客の受け入れを順次拡大したが、タイ航空の搭乗客数は20年比7割減の164万人にとどまった。債務整理や資産売却で815億バーツの利益を計上して黒字を確保した。
手元資金を示す「現金および現金同等物」は21年末に20年末比31億バーツ少ない55億バーツになった。3月末までに民間金融機関と250億バーツの融資契約を結んで、運転資金に充てる方針だ。
今後については、新型コロナの変異型「オミクロン型」の感染拡大も懸念材料として残る。タイは26日に過去最多となる2万5000人超の新規感染者を確認した。同社は「深刻な感染拡大が続けば、再びロックダウン(都市封鎖)が実施されるリスクがある」と指摘した。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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