スタートアップ支援費用4倍、愛知県22年度予算案
愛知県は9日、一般会計の総額で2兆8275億円となる2022年度当初予算案を発表した。前年度と比べて4.1%増え過去最大だ。スタートアップ支援の予算を4倍にするほか、11月に長久手市に開業する「ジブリパーク」の整備費用を盛り込んだ。ただ法人税収は新型コロナウイルス禍前の水準には戻っておらず、厳しい財政が続く。
大村秀章知事は9日の記者会見で「千里行って千里帰る虎のように、勢い盛んに愛知が躍進する。『躍進千里』予算だ」と述べた。2月県議会に提出し成立を目指す。
スタートアップ支援の総額は28億円。24年10月に名古屋市内に設ける支援拠点「ステーションAi(エーアイ)」の整備に18億円を盛り込んだ。地上7階建ての施設で、24年度までの整備費の総額は143億円。運営はソフトバンク子会社が担う。米国やシンガポールの大学と連携した企業支援プログラムにも5億円を投じる。
長久手市の愛・地球博記念公園で今年11月1日に開園するジブリパークの整備には120億円を投資する。スタジオジブリの映画「耳をすませば」などの風景を再現する「青春の丘」エリアや、過去の展覧会の展示品を置く「ジブリの大倉庫」に39億円をかける。
さらに23年秋に追加開業する映画「もののけ姫」の村をイメージした「もののけの里」と、映画「魔女の宅急便」「ハウルの動く城」の舞台をイメージした「魔女の谷」のそれぞれ工事に82億円を計上する。
ジブリパークの開園に向けては、公園施設の改修などにも75億円を投じる。広場を舗装するほか、休憩所や駐車場を整備。周辺道路の渋滞対策も講じる。
また県内の観光を活性化するため、旅行費用の一部を補助するGo Toトラベル事業に128億円をあてる。新型コロナウイルスの流行を踏まえて、春の大型連休後から夏までの実施を想定している。
新型コロナ対策には1653億円を盛り込んだ。病床を用意する医療機関への補助金が1051億円と6割を占める。主に軽症者を受け入れる宿泊施設の運営にも150億円を投じる。県によるワクチン接種会場の運営費は27億円。これらは県の予算に計上するが、最終的に国が全額を負担する。
県の財政状況は厳しい。景気の影響を受けやすい法人2税(法人県民税、法人事業税)は22年度に3539億円と21年度と比べて2%増える見込みだ。ただ企業業績の回復は道半ばでコロナ禍前の19年度(3864億円)には及ばない。税制改正の影響や企業の海外移転もあってリーマン・ショック前の07年度(6304億円)を大幅に下回る水準だ。22年度予算では1259億円の収支不足を貯金にあたる基金の取り崩しで補う。
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