JR東日本、Suica利用データ統計化 個人情報配慮し提供
JR東日本は20日、交通系ICのSuica(スイカ)の利用データを社内で統計化し、自治体や民間企業への提供を計画していると発表した。データは個人が特定されないよう加工する。駅の利用データを活用した観光施策などにつなげてもらう考え。
乗降者数のデータなどを集計し、「駅カルテ」としてリポートを提供する。「駅カルテ」は首都圏を中心に1都11県でスイカ利用の多い約600駅を対象とし、毎月の駅ごとの利用状況のデータをまとめる。
定期外利用での乗降人数や、時間帯別の利用状況、利用者の性別や年代や、対象の駅と行き来が多い駅などがわかる。駅構内売店での買い物など電子マネーの利用データは含まない。
自治体や民間企業に有償で提供し、観光施策や交通計画、不動産開発などでの活用を見込み、これまで神奈川県の逗子市や藤沢市に実験的にデータを提供し、観光施策の評価や検証などに使われた。
スイカのデータ活用をめぐっては2013年、JR東が提供したデータをもとに日立製作所が分析サービスを始めるとしたが、個人情報への配慮が足りないとして反発を受け、中止した経緯がある。
今回は氏名やID情報を消去するなどデータの加工に加え、リポートは年齢は10歳単位、人数も50人単位で集計するなどして外部に提供し、プライバシーに配慮する。データの使い方や加工についての説明をホームページ上に掲載し、透明性を高める。
データの使用を望まない場合は、ホームページやメールなどで除外手続きもできる。根本英紀常務執行役員は「プライバシー保護に配慮しながら、スイカのデータを社会に役立つ形で活用していきたい」とし、早期のサービス化を目指す。