米デルタ航空の10~12月、赤字470億円 社員8000人感染
【ニューヨーク=大島有美子】米デルタ航空が13日発表した2021年10~12月期決算は、最終損益が4億800万ドル(約470億円)の赤字(前年同期は7億5500万ドルの赤字)だった。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大が旅行需要を下押ししたほか燃料費の高騰が収益を圧迫し、3四半期ぶりに赤字を計上した。
売上高は94億7000万ドルで、コロナ拡大前の19年10~12月期と比べ17%減だった。四半期ベースでの売上高はコロナ下に入った20年1~3月期以降で最大だ。主力の旅客収入は19年10~12月期比で29%減。米国内線は22%減だったが、大西洋路線が53%減、太平洋路線が81%減になるなど国際線が振るわなかった。
原油価格の上昇に伴い、1ガロン当たりの燃料コストは19年10~12月期比で4%上昇したほか、運航再開に伴うコストもかさんだ。費用全体の減少幅は同8%にとどまり、売上高の減少を補えず最終赤字につながった。
感染力の強いオミクロン型のまん延は航空需要回復の重荷となる。エド・バスティアン最高経営責任者(CEO)は「60日ほど需要回復が遅れる」との見方を示した。「消費者や法人の潜在需要は大きく、(感染の)ピークを過ぎれば春や夏は力強い旅行シーズンとなるだろう」とも述べ、先行きは楽観視した。2月下旬の連休にかけて再び回復軌道にのるとみる。22年1~3月期は赤字となる見通しだが、4~6月期以降は黒字を見込む。
バスティアン氏は13日、米CNBCの番組で、従業員全体の1割程度にあたる約8000人が直近の4週間でコロナに感染したことを明らかにした。従業員にワクチン接種を義務付けているユナイテッド航空でも11日時点で3000人が感染した。航空業界では従業員の感染によって運航に支障が出ているが、バスティアン氏は13日「運航は先週から安定してきた」と述べ、混乱が収束に向かっていると強調した。
21年通年での純利益は2億8000万ドルとなった。19年と比べると94%減だが、通年で2年ぶりの黒字となった。米国内の移動需要が回復し、売上高が19年比36%減まで持ち直したことが大きい。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?
関連企業・業界