エアアジアXの大幅な債務減免、債権者が合意
【シンガポール=谷繭子】マレーシアの格安航空会社(LCC)大手、エアアジア・グループ傘下で中・長距離線専門のエアアジアXは12日、336億5000万リンギ(約9200億円)の債務を大幅に減免する再建計画について、欧州エアバスなどの債権者から合意を得たと発表した。新型コロナウイルス禍で経営難に陥っていたが、再建に向けた一歩を踏み出す。
同日、担保付きの債権者、航空機リース会社など無担保の債権者、エアバスの3区分に分けてオンライン投票が実施され、金額ベースで99%の支持を取り付けた。
エアアジアXはプレスリリースで「(債務減免は)事業の再建には不可欠だった。これで効果的に競争できる体制が整備される」と述べた。
未払い債務と解約賠償要求額を合わせ、合計336億5000万リンギの債務を、2100万リンギに圧縮することを求めていた。99.9%の減免となり、運航再開後に一定の利益が出た場合、債権者に分与する条件をつけた。
主な債権者にはエアバスのほか、中国銀行傘下の中銀航空租賃(BOCアビエーション)などリース会社、空港運営会社のマレーシア・エアポーツ・ホールディングスなどが名を連ねた。
エアアジアXは裁判所から債務減免の承認を受けた後、資金調達を急ぐ。まず資本金を99.9%減資し、次いで最大5億リンギの増資をする。シェア重視の戦略を改め、保有機を絞り、採算の合う路線から運航を再開する。2022年末までに中国や日本、インドなどの主要都市に再び乗り入れをする計画だ。
「エアアジアXはこれが最終提案だと強調していた」。ある債権者は説明する。ほぼ全額に近い債務カットだが、債権者はエアアジアの再建を支持することを選んだ。
エアアジアXは既存の契約に関しても条件を見直し、再調印する方針だ。エアバスはエアアジアXからの受注が108機ある。エアアジア・グループはエアバス機の保有数で世界有数だ。
ただ、長距離LCCの回復力を疑問視する声もある。マレーシアの航空アナリスト、シュコール・ユソフ氏は「事業モデル自体を見直す必要がある」と指摘している。
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