宣言解除、医療負荷重視に転換 経済再開へ新基準
19都道府県、月末まで延長 宮城・岡山は重点措置移行
政府は9日、新型コロナウイルス対策で東京など19都道府県の緊急事態宣言を30日まで延長すると決めた。宮城、岡山両県は期限の12日で解除し「まん延防止等重点措置」に移行する。病床使用率など医療体制の負荷を重視する解除基準を新たに取り入れた。ワクチン接種の進展を受け、経済活動を再開しやすい方針に転じた。
9日に首相官邸で開いた政府の新型コロナ対策本部で決定した。宣言発令中の21都道府県のうち、北海道、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、広島、福岡、沖縄は継続する。
重点措置は福島、石川、香川、熊本、宮崎、鹿児島に宮城、岡山を加えた8県になる。山梨、富山、愛媛、高知、佐賀、長崎への適用は12日の期限で終える。
菅義偉首相は9日の記者会見で「全国各地で感染者はようやく減少傾向をたどっているが重症者数は依然として高い水準が続いている」と指摘した。「収束にはいまだ至っていない」との認識を示した。
政府の新型コロナ感染症対策分科会は8日、新たな宣言の解除基準案を提言した。既存の指標だけでなく、新規感染者数が減りきらない場合でも医療体制の状況をみて判断する内容になった。首相は「専門家の提言を踏まえて判断した」と説明した。
病床使用率が50%未満で、重症や中等症の患者数が継続して減少傾向にあることなどを解除の条件にした。自宅療養者数、救急搬送が困難だった事例の数も考慮する。
新規感染者数が指標を超えても「2週間ほど継続して安定的に下降傾向」なら解除できる。
これまでは①医療の逼迫具合②療養者数③PCR検査の陽性率④新規感染者数⑤感染経路不明割合――の5指標に基づき判断してきた。特に新規感染者数を巡り「直近1週間で10万人あたり25人」という「ステージ4」の水準を重んじる傾向にあった。
今回の宮城、岡山両県の解除は新基準に沿った。7日時点の指標で新規感染者数は「ステージ4」の水準を上回ったものの、病床使用率や入院率は基準を下回った。
引き続き宣言地域で飲食店の営業時間を午後8時までにするよう要請し、酒類提供は禁止する。重点措置地域では原則停止にしつつ、地域の感染が「下降傾向にある」と知事が判断すれば提供を認める。
重点措置地域で酒類を提供できる時間は現在より30分遅い午後7時半までになる。感染状況によっては知事の判断で最長午後8時まで認める方針も決めた。営業時間も1時間延ばし、午後9時まで可能にする。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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