関西エアポートの21年3月期、赤字345億円 関空苦戦
関西国際空港など関西3空港を運営する関西エアポートが3日発表した2021年3月期の連結決算は、最終損益が345億円の赤字(前の期は335億円の黒字)だった。航空機の利用客の急減が響いた。赤字は16年に空港の運営を受託してから初めて。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛により、航空機の利用者は3空港で81%減った。国際線旅客が多い関空では92%減と、いずれも63%減だった大阪国際(伊丹)、神戸の両空港より落ち込みが大きい。
売上高に相当する営業収益は73%減の572億円だった。免税店などの非航空系収入も365億円と71%減った。人件費や外注費などで209億円のコストを削減した。
関西の3空港は民間企業が国側から空港運営を44年契約で受託している。インバウンド(訪日外国人)増加の恩恵を受けてきたが、今では年に約370億円という運営権対価の支払いが重くのしかかる。
オンラインで記者会見した山谷佳之社長は「訪日客に支えられた積み重ねがあり、まだ十分耐えられる。現状が続いてもあと1年は大丈夫だろう」と話す。
ただ想定外の事態を受け、700億円程度を予定する関空の第1ターミナルの改修費について、政府から最大で半分の支援を受けて2025年国際博覧会(大阪・関西万博)に備える。新千歳空港(北海道千歳市)などを20年から運営する北海道エアポートに対しては20、21年度の運営権対価の支払いをそれぞれ2年間猶予した事例もある。
関西エアの現預金は927億円あり、5月には融資枠を530億円に広げた。コスト削減を続け「貨物などで成長を探る」(山谷社長)という。足元では24時間営業のカフェラウンジを開業し、カプセルホテルも約1年ぶりに営業を再開。持ち直しに期待する動きもわずかに出てきた。
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