香港キャセイ航空、通期決算は過去最大の赤字

香港キャセイ航空、通期決算は過去最大の赤字
 3月10日、香港のキャセイ・パシフィック航空が発表した2020年通期決算は216億5000万香港ドル(27億9000万ドル)の赤字と、過去最大の赤字を計上した。写真は香港で2018年4月撮影(2021年 ロイター/Bobby Yip)
[10日 ロイター] - 香港のキャセイ・パシフィック航空が発表した2020年通期決算は216億5000万香港ドル(27億9000万ドル)の赤字と、過去最大の赤字を計上した。
新型コロナウイルスの流行に伴う旅行需要の急減、リストラ費用、保有航空機の評価損計上が響いた。
同社は現金の維持を重視していると表明した。
赤字幅は、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の平均199億香港ドルを上回った。2019年は16億9000万香港ドルの黒字を計上していた。
パトリック・ヒーリー会長は声明で「市場の状況は依然として厳しく、絶えず変化している」とし「現金を維持するためのすべての措置を継続する。幹部報酬の削減を今年いっぱい続ける」と表明した。
同会長は「回復ペースは依然として不透明で、生き残るのに必死な状態が続いている」とし、現時点で追加の人員削減は計画していないが、状況が不透明なため、どのような可能性も否定できないと述べた。
同社では2020年12月の旅客数が前年同月比で98.7%減少。貨物輸送は32.3%減少した。
2020年の売上高は479億香港ドル。貨物輸送の売上高は全体の60%近くを占め、2019年の約20%から上昇した。
同社は1月、乗務員にホテルでの2週間の隔離を義務付ける香港の新ルールを受けて、旅客輸送能力を60%、貨物輸送能力を25%削減すると表明した。
新ルールは2月20日に発効。大半の従業員は、3週間勤務した後、ホテルでの2週間の隔離期間を経て、自宅で2週間休暇を取るという勤務体制を取っているという。
同社のキャッシュバーン(現金燃焼)は、1カ月当たり10億ー15億香港ドルだったが、新ルールの影響でさらに3億ー4億香港ドル増える見通し。
同社は1月、流動性を強化するため67億4000万香港ドルの転換社債を発行。金融勘定には下降シナリオが続いたとしても少なくとも12カ月維持するのに十分な流動性があるという。
昨年10月には、運航を停止した傘下のキャセイドラゴン航空のほぼ全てのポジションを含め、5900人の人員を削減すると発表した。
交銀国際のアナリスト、Luya You氏は、主要市場でワクチン接種スピードが予想よりも遅れており、今年下半期の見通しに暗雲が漂っていることから、追加の人員削減の可能性が高まっていると指摘。「下半期の見通しがより明確になれば第2・四半期に追加削減について決定されるとわれわれは見込んでいる」と語った。
*会長の発言を追加して再送します。

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