札幌市営地下鉄 クレカタッチ決済実証実験 10日間で利用率1%未満
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インバウンド(訪日外国人客)対応の一環として、札幌市営地下鉄でクレジットカードによるタッチ決済の実証実験が始まった。切符や交通系ICカードを購入する手間を省き、キャッシュレス決済の利用が多い外国人客のスムーズな移動を促すのが狙いだ。ただ、実験を始めた4月26日から10日間の利用は2万1774件(速報値)で利用率は1%に満たず、今後は認知度の向上が課題となる。
市営地下鉄はJR札幌駅に直結する「さっぽろ駅」のほか、雪まつり会場として知られる大通公園に通じる「大通駅」、歓楽街ススキノ地区につながる「すすきの駅」などがあり、札幌の観光スポットを巡る移動手段として訪日客にも重宝されてきた。
コロナ禍の収束で市内の訪日客数は急激に回復しており、2023年度は161万人と前年度の8倍近くに上った。一方、券売機の前に切符を買う人やICカードに現金をチャージする人の行列ができるなどの弊害も起きている。
今回の実証実験では、3路線の全49駅の改札にクレジットカードの決済端末を設置。大人普通料金のみの対応だが、交通系ICカードと同様、改札機の読み取り部分にクレジットカードをかざすことで利用できるようにした。
市は今後、利用状況を踏まえて本格導入を検討する。利用率の向上には積極的なPRが欠かせないが、クレジットカードが使えない券売機の近くでタッチ決済を宣伝するとかえって混乱を招く可能性もあり、市は「周知方法を工夫したい」としている。
鉄道のクレジットカードのタッチ決済は、福岡市が22年に実証実験を始めて24年に本格導入した。神戸市も24年に取り入れ、東京都、横浜市でも実証実験が行われている。私鉄でも南海電鉄、東急電鉄などに広がっている。