セブン、おにぎりで英語表記開始 訪日客向け商品開発も

セブン―イレブン・ジャパンは30日、訪日外国人(インバウンド)向けの施策説明会を開いた。訪日客数が過去最高を更新する状況を踏まえ、ワサビを使ったおにぎりなど一部の商品名で英語表記を併用。ピクトグラム(絵文字)によるアレルゲン表記の実験も始めた。卵を使ったサンドイッチなど訪日客を意識した商品開発も進める。
全国のセブンイレブンでは大阪や東京など都市部のほか、岐阜県など地方店舗で訪日外国人が増えている。2024年の売上高は前年比倍増し、お土産ではなく旅行中に消費する食品などを購入する動きが目立つ。
新年度が始まった3月以降、ワサビが名産の静岡県で一部おにぎりの商品名表記を「WASABIめし」に切り替えた。これまでは「わさびめし」で、従来の英語表記は原材料のみにとどまっていた。同じくワサビの産地で知られる長野県の一部地域でも商品名を英語表記に変更する。
30日に開いた説明会で、商品本部の鷲野博昭総括マネジャーは「抹茶を使った一部商品でも英語表記を取り入れる方針だ」と話した。訪日外国人が多く訪れる地域や、よく買われる商品を対象に今後も商品名の英語表記を検討する。

訪日外国人対応の一環として、大阪・関西万博内の2店舗でアレルゲンをピクトグラムで表記する。従来は日本語と英語だった。現在は大阪万博の店舗だけだが、鷲野氏は「来店客の反応を見ながら全国の店舗に広げるかを見極める」と述べた。
セブンイレブンの店舗では、訪日外国人はプライベートブランド(PB)の「たまごサンド」やおにぎり、天然水などを好んで購入するという。牛乳やチョコを使ったプリンやグミも人気だ。ただ、外国人に人気の商品はいずれも日本人向けに開発していた。今後は訪日外国人を意識した新商品の開発・販売にも本腰を入れる。

その一つが「たまご尽くしサンド」で、関西地方の一部店舗で取り扱う。5月には首都圏限定で「半熟卵2個分のたまご」も実験販売する予定で、SNSなどで飛び交うワードなども踏まえて訪日外国人に好まれそうな商品開発を増やす。
オペレーション本部の吉村浩司副総括マネジャーは「販売実績でわかる平均値だけでなく、『外れ値』にも注目する」と語った。約1600円のイチゴや練りワサビなどが一例で、人気商品の候補をいち早く売り場に並べることで店舗売上高を伸ばす。セブンは30年度に1店舗あたりの売上高(平均日販)を24年度比5万円以上高い75万円に引き上げる計画で、訪日外国人の伸びが重要となる。
関連企業・業界