東急、賃上げ8.5%過去最高 大卒初任給はJR東超え
東急は13日、2025年度の従業員の年収を平均8.5%引き上げると明らかにした。1万500円のベースアップ(ベア)と、若年、中堅層を中心にした基本給改定や賞与を組み合わせる。総合職の大卒初任給は3万5500円引き上げて28万2000円とし、JR東日本を上回る。年収の上昇率は定昇を導入した1999年以降で過去最高となる。
労働組合に同日回答した。ベアに加えて20〜30代を中心とした若年、中堅層に更に月額で2万5000円を上乗せする。賞与も支給月数を増やす。約4200人いる一般社員(平均40歳)の年収は8.5%増え、若年・中堅層では最大20.2%の賃上げになる。組合は1万3400円のベアを求めていた。14日に組合側が受諾し妥結する見通し。
契約や嘱託社員も一律8000円の賃上げをする。ホテルなどの好業績を踏まえて、3月末に1人あたり平均20万円の特別一時金を支払う。また福利厚生でも寮や社宅への入居条件を緩和するほか、資格取得にかかる費用の補助額も拡大する。
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。