京都のライドシェア、本格運用スタート…試行期間中は利用者が伸びず

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運行開始セレモニーで、ライドシェアの表示を確認するドライバー(20日、京都市役所前で)=川崎公太撮影
運行開始セレモニーで、ライドシェアの表示を確認するドライバー(20日、京都市役所前で)=川崎公太撮影

 一般ドライバーが有償で客を送迎する「日本版ライドシェア」が先行スタートした京都府で20日、本格的な運用が始まった。これまでの試験的な運行と異なり、タクシー会社が雇用した一般ドライバーによる運行が開始された。この日までトラブルは起きていない一方で、利用はそれほど伸びていない。タクシー不足の解消も期待されており、定着するかどうか今後の動向が注目される。(京都総局 上村真也)

 京都市中京区の市役所前で20日午前、府タクシー協会などによる運行開始セレモニーがあり、フロントガラスに「ライドシェア」と表示されたタクシー7台が並んだ。一般ドライバーを代表し、男性(45)が「安全・安心を最優先に、快適に目的地まで輸送します」と宣言。車両が会場から発進していった。

 ライドシェアでは、2種免許を持たないドライバーが自家用車などで客を送迎する。国が、タクシーが不足しているとして決めた地域や時間帯で導入され、タクシー会社がドライバーと雇用契約を結んで運行を管理。ドライバーは時給や歩合を受け取れる。京都では、平日の夜や未明、金土日曜の午後4時台~翌日午前5時台に利用できる。

 8日に東京都とともに全国に先駆けてスタートした京都府では、20日から、「都タクシー」(京都市南区)が雇用した一般ドライバーによる運行が始まった。京都市や宇治市など府南部の16市町村で、10社以上が国の許可を受けており、月内にも計50~100台に増えると見込まれる。

 20日までは、タクシー大手「エムケイ」(同)だけが、2種免許を持つ管理職らが約20台を使う方式で試験運行を実施してきた。初日の8日は午後4~8時に15台が稼働し、80組が利用した。ほぼ外国人客で、平均すると1時間当たり1組ペース。その後も同様の利用頻度だという。同社のライドシェアの車は、外国人がよく使う配車アプリ「ウーバー」で呼ぶ仕組みで、その影響とみられる。

 担当者は「アプリの普及率や使い勝手が向上すれば、より利用が広がると期待している」と話す。

50歳の料理人男性「空き時間有効に活用」

 許可を受けた各社は人材や安全の確保に力を入れる。

 都タクシーは、3月下旬からドライバーの募集と面接を行い、70人超の応募者から30人を採用した。40~50歳代が中心で、個人事業主が副業として選ぶケースが目立つ。運転手不足で余ったタクシーを貸し出し、数十台を運行するという。

 採用者の1人で、料理人の男性(50)(京都市)は「運転が好きで、空いた時間を有効に使いたい」と応募した。飲食店の開業準備中で、夜を中心に週2、3回の乗務を予定する。

 同社では10時間以上の研修を実施。社員同乗の路上研修も行い、乗降車時の安全確認の方法などを指導した。ドライブレコーダーの映像を使い、急ブレーキや急ハンドルなどがないかも確認する。

朝昼の供給不足やミスマッチも

 タクシー業界ではコロナ禍で離職者が相次ぐなどし、運転手不足が慢性化している。外国人観光客が回復している京都ではタクシー不足が深刻化し、JR京都駅のタクシー乗り場には長い列ができる。国土交通省によると、京都市やその周辺では週末に約490台が足りないという。

 府タクシー協会の筒井基好会長は「タクシー不足を補完する手段として、業界全体でチャレンジする。タクシーと同等の安心安全を保っていきたい」と語る。

 一方、国が決めた運行時間が、タクシー不足の実態に合っていないとの指摘もある。京都の運行時間には、朝や昼は含まれていない。エムケイの青木信明社長は「実際には朝や昼に供給不足が起きている。自由に時間設定できるようにするべきだ」と訴える。

 ライドシェアは5月以降、大阪、神戸、広島3市など8地域でも順次始まる見込み。政府は運用状況を検証したうえで、6月をめどにタクシー会社以外への対象拡大の可否などを示すとしている。

予約は配車アプリで

 現行では、ライドシェアの利用者は、スマートフォン用の配車アプリ「GO」や「ウーバー」などを使って車を呼ぶ。事前に行き先を決め、料金の支払いは到着後にキャッシュレス決済で行う。運賃はタクシーと同水準。タクシーかライドシェアかを選ぶことができる配車アプリもある。

◆日本版ライドシェア  政府が規制緩和の推進やタクシー不足の解消を目的に導入した。配車アプリのデータを基に、タクシー不足が顕著な〈1〉東京23区、東京都武蔵野市など〈2〉神奈川県の横浜、川崎両市など〈3〉愛知県の名古屋市など〈4〉京都府の京都、宇治両市など――4地域で4月から解禁した。

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