キャピタルA、23年はコロナ流行後初の黒字に 旅客回復
マレーシアの格安航空会社(LCC)エアアジアを傘下に持つキャピタルAは、2023年の最終損益が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降、通年として初の黒字になったと発表した。旅客と貨物の需要が堅調だったことが寄与した。
キャピタルAは声明で、23年12月期の最終損益は5億760万リンギの黒字で、前年同期の33億リンギの赤字から回復したと発表した。
23年の売上高は前年比129%増の148億リンギだった。運航機材数はコロナ前の19年の約80%にとどまるが、売上高は19年の水準を25%上回った。
キャピタルAの最高経営責任者(CEO)で、エアアジアを共同創業したトニー・フェルナンデス氏は、キャピタルAはビジネスモデルの多角化により「これまでにないほど強くなった」と強調している。
短距離LCC事業を手がけるエアアジア・アビエーション・グループのボー・リンガムCEOは24年について明るい見通しを示し、傘下のエアアジア・マレーシア、エアアジア・タイ、エアアジア・インドネシア、エアアジア・フィリピンの運航能力をコロナ前の水準の90%にする目標を掲げた。
リンガム氏は「中国路線とインド路線を強化して需要の高まりを取り込み、他の高収益路線も戦略的に重視する」方針を示した。
エアアジア・アビエーション・グループの23年の搭乗率は前年比5%増の88%だった。旅客数は5700万人近くでコロナ前の77%に達した。売上高は前年比143%増の135億リンギだった。
リンガム氏は機内販売などの付帯収入がさらに増え、燃料価格が下がるとの見通しを示した。
キャピタルA傘下の物流会社テレポートの23年の売上高は前年比56%増の7億3090万リンギだった。電子商取引(EC)の荷物の取扱数が前年比275%増えたことが寄与した。貨物の取扱量も88%増えた。
テレポートの23年のEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は2000万リンギの黒字となり、前年の2690万リンギの赤字から改善した。
フェルナンデス氏は24年に戦略的に重点を置く分野として、コスト削減に向けた資産活用の最適化、財務の安定、スタッフが力を発揮できる企業文化の推進、質の高い製品の提供、人工知能(AI)の活用の5つを挙げた。
フェルナンデス氏は「株主の信頼と自信を回復することがいかに重要かを理解している。24年は計画を実行に移すと約束する」と語った。
マレーシア証券取引所は22年1月以降、キャピタルAを経営難の企業に指定している。このため、同社は6月30日までに同証取に再建計画を提出しなくてはならない。
キャピタルA傘下のキャピタルAインターナショナルは2月28日、米国の特別買収目的会社(SPAC)エセリウム・アクイジションとの合併を経由して米ナスダックに上場すると発表した。企業価値は推定11億5000万ドルだ。(クアラルンプール=ノーマン・ゴー)
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