和歌山県田辺市は令和6年度、観光客らがJR紀伊田辺駅から市内の観光名所3カ所を訪れるタクシー料金のほぼ半額を補助する方針を決めた。いずれも同駅からの公共交通のアクセスが不便なスポットで、タクシー料金を補助することで観光の活性化を図る。
3カ所とそれぞれの片道補助額は、世界遺産の熊野古道「長尾坂」に近い「長尾口」2千円▽奇岩が連なる「ひき岩群」内の「ふるさと自然公園センター」千円▽早春に「一目30万本」の梅の花が咲く「紀州石神田辺梅林」3千円。補助額はいずれも運賃のほぼ半分にしている。長尾口はバス停だが4月から土・日曜の便がなくなる。他の2カ所はバス便がない。
市は開会中の市議会定例会に提出した6年度一般会計当初予算案に事業費90万円を計上。4月の開始を目指して準備している。検討している案では、乗客がタクシー車内で申請書に書いて補助額を差し引いた運賃を支払い、申請書をもとに市がタクシー会社に補助額を支払う仕組みにする。
タクシーは、乗客ゼロでも運行しなければならないバスと違い、需要に応じてサービスを提供できるメリットがある。市観光振興課の担当者は「観光客の利便性を向上させたい。効果をみた上で7年度以降も続けるか決めたい」と話している。