世界で多くの国際直行便が消滅-コロナ禍後の不完全な回復浮き彫り
Angus Whitley、Danny Lee-
バンコクやデトロイトなどが負け組に-伝統的ハブにフライト集中
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シンガポールやニューヨークなどの主要ハブが勝ち組に
航空会社の国際直行便ネットワークで、タイのバンコクや米デトロイトなど、世界のさまざまな都市の存在感が薄れている。新型コロナウイルス禍後の旅行ブームの中、より伝統的なハブにフライトが集中していることが背景にある。
東南アジアでは、フィリピン航空、ガルーダ・インドネシア、タイ国際航空がフライトを削減したため、コロナ禍前にあった欧州への直行便がほとんど消滅した。
例えば、マニラやジャカルタからはロンドンへの直行便がなくなり、クアラルンプールはフランクフルトへのアクセスを失ったほか、バンコクとローマを直接結ぶ便も消滅した。コロナ禍前よりも接続が良くなったのは、20日に開幕する大規模な航空ショーの開催地であるシンガポールだけだ。
現在残っている欧州の主要都市に乗り入れている路線でも、ほぼ全面的に運航本数が減っている。
米国も同じような状況にある。デトロイトのほか首都ワシントンでさえ、欧州への直行便が減っている。フロリダ州フォートローダーデールでは、5年前にロンドンやパリ行きの直行便が月50便余りあり、その大半はマラブ航空やノルウェー・エアシャトルが運航していた。シリウムのデータによれば、現在同市で欧州への直行便はゼロだ。
こうした国際直行便の消滅は、航空業界が直面しているシステミックな課題を反映している。航空会社は乗客の需要に対応するのに十分な数の新しい航空機や予備の部品を手に入れることができない状況にある。同時に、コスト上昇によって航空会社の利幅は圧迫され、コロナ禍前に採算が合っていた路線も廃止せざるを得なくなっている。
こうした不完全な回復の勝者は、シンガポールやニューヨークのような伝統的なハブであることをデータは示唆している。米デルタ航空やユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスは、コロナ禍前よりも多くの直行便をニューヨークからロンドンやパリなど欧州の主要都市に運航している。シンガポール航空も同様に、拠点とするチャンギ空港から欧州への直行便を増やしている。
原題:Bangkok, Florida Lose as Airlines Axe Less Frequented Routes(抜粋)