「コロナ禍前のような料金で中国人団体客受け入れはノー」 客室単価の上昇を狙う ロイヤルホテル植田文一社長

ロイヤルホテルの植田文一社長=大阪市北区 (渡辺恭晃撮影)
ロイヤルホテルの植田文一社長=大阪市北区 (渡辺恭晃撮影)

昨年、ロイヤルホテルの社長に、6年ぶりとなる生え抜きのトップとして就任した植田文一氏。産経新聞のインタビューに応じ、旗艦のリーガロイヤルホテルの大改装などを通じた再成長への見通しを語った。

--令和7年3月までの大改装で旗艦ホテルはどう変わる

「1月に高価格帯客室棟から着手し、ほぼ全室を改装する。千室(現状は1039室)は維持。朝食会場などに使われているブッフェレストランは客席を大幅に増やし、ロビーも象徴的な絨毯(じゅうたん)をいかすようフロント部分などを改装する方針だ」

--中国人団体客の回復遅れをどう見る

「稼働に影響はあるが、新型コロナウイルス禍前のような料金で中国人団体客を受けられるかといえばノーだ。いま呼び込みたいのは(企業が成績優秀な社員や顧客を招く)報奨旅行の団体客。宴会場の利用を見込め、1室当たりの客室単価も高い」

--英インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG)との提携効果は

「IHGの会員プログラムに加盟したことで効果が出ている。宿泊に加え、国際会議などMICE(マイス)の誘致は既に実績もある。IHGとしてもMICEを提案できる受け皿を関西で持てたことは大きな利点だ」

--米不動産ファンドのベントール・グリーンオーク(BGO)との資本業務提携による社内の反応は

「旗艦ホテルを売却したことに寂しさを訴える社員もいたが、今は前向きにとらえている。新型コロナ禍で増えていた離職者も、5年4月からのBGO提携の新体制後はむしろ減った」

--今後の出店戦略は

「BGOが日本で出資するホテル取得の案件以外にも運営委託の申し出が急増している。大都市圏を中心に沖縄などリゾート地も候補。国内ではまだ新規出店が続き、競合他社との〝ガチンコ勝負〟になりそうだ」

--人事面での課題は

「透明性に欠けた人事評価制度だ。例えば調理職は数字だけでなく技術も評価することが大事。7年4月をめどに制度改革を実行するため、プロジェクトチームを発足。人事部中心から現場の中堅社員を厚くしたチームに変え、問題点などの洗い出しを急いでいる。IHGの独立系ホテルとなり、大阪・関西万博の開幕に合う時期で良いスタートが切れると期待している」(聞き手 田村慶子)

うえだ・ふみかず 大阪工業大高(現常翔学園高)卒。昭和60年京都グランドホテル(現ロイヤルホテル)入社。リーガロイヤルホテル副総支配人、常務執行役員などを経て令和5年6月から現職。大阪府出身。

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