小江戸「川越」の外国人観光客爆増のナゾ 過去最高記録「理由よく分からない」

外国人観光客らに人気の「時の鐘」周辺=埼玉県川越市
外国人観光客らに人気の「時の鐘」周辺=埼玉県川越市

江戸の情緒を残し、小江戸と呼ばれる埼玉県川越市を訪れる外国人観光客が激増している。市のまとめでは、令和5年の推計値で前年の約6・2倍となった。国の統計でも5年の訪日外国人は前年比6倍以上になっているが、市を訪れた外国人観光客は過去最大数の倍近くになっており、特異な伸びだった。市はこの激増理由を「よく分からない」としている。

時の鐘が人気

1月下旬の川越市は外国人観光客が目立っていた。

「川越は古い町並みがあり、日本の伝統的な雰囲気が感じられて、特に『時の鐘』がインドネシアでも人気です」

同国の中学生34人の研究旅行のガイドで時の鐘周辺を案内していた同国の女性(29)は、川越の魅力についてこう話した。ここに来たのも学校側の希望だったという。

時の鐘は江戸初期に最初のものが建てられ、現在のものは明治27(1894)年に再建された。観光地「蔵造りの町並み」の中にあり、小江戸川越のシンボルになっている。

女性は都内在住で、同国人向けの観光ガイドをしている。時の鐘が大人気になっている理由は知らないというが、「来日した人の多くが半分をショッピングに使い、残りの半分で観光をする。観光では時の鐘を見たがる人が多い」と説明してくれた。

コロナだけでない

市によると、5年に市を訪れた外国人観光客は推計で約61万5千人で、統計を取り始めた平成19年以降最高を記録した。令和4年は9万9千人、それまでの最高は元年の31万3千人だった。

5年に外国人観光客が激増したのは、4年10月に新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されたためで、全国的な傾向だ。ただ、それだけでは最高値の倍近くにまで激増する理由にはならない。

市は「川越は東京から電車で最速約30分という来やすさがあるからでは」と激増理由を説明するが、立地がコロナ前後で変わったわけではないので理由としては弱い。

市が近年、外国人インフルエンサーに観光を紹介してもらうなどのPR活動を依頼したわけでもなく、観光地としての整備をしたわけでもないので、はっきりとした増加理由は分からないという。

問題発生の懸念も

観光客の増加は地域の経済活性化につながるが、オーバーツーリズムによる問題が起こることも懸念されている。

蔵造りの町並みは真ん中に県道が走っており、車の交通量も多い。歩道は整備されているものの、人が多くなれば車道にまで人があふれる危険性がある。

市は「このままではいつ大きな事故になってもおかしくない」と心配している。

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