札幌市と周辺10自治体 「旅先納税」を導入 1日からサービス開始

札幌市は1日、ふるさと納税制度を利用して旅行や出張で訪れた自治体に寄付できる「旅先納税」をスタートした。同市を含む周辺12市町村でつくる「さっぽろ連携中枢都市圏」のうち、千歳市を除く11市町村と事業を進める。複数の自治体による広域連携は京都府北部7市町の取り組みに次いで全国2例目で、北海道初。札幌市の天野周治副市長は「農業体験やワカサギ釣りなど体験型メニューもたくさんある。新たなニーズを掘り起こしていきたい」などと豊富を語った。

札幌市内で開かれた記者会見には、さっぽろ連携中枢都市圏を代表して札幌市の天野副市長と、北海道観光振興機構の小金沢健司会長、運営会社「ギフティ」の森悟朗常務が出席し、抱負を述べた。

同事業は自治体に対する寄付額に応じ、訪れた地域の飲食店や宿泊施設などで利用できる電子商品券「e街ギフト」が返礼品として受け取れる取り組み。従来のふるさと納税は寄付してから返礼品が届くまでに一定の時間がかかるが、旅先納税ではすぐに使えるほか、1円単位で支払いが可能など利便性の高さから全国で注目を集める。

スマートフォンでQRコードを読み取り、専用サイトから希望する自治体に寄付を行うと、寄付額に応じた30%分の電子商品券が受け取れる仕組み。寄付額は各自治体別に1万円から300万円までの15段階に分かれている。

対象自治体は札幌市、小樽市、岩見沢市、江別市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村、南幌町、長沼町の11市町村。1日時点で飲食店や宿泊施設など206店舗が登録している。電子商品券の利用期限は寄付日から180日間。旅行や出張などの利用者が対象で、11市町村在住者は対象外。

ギフティの森常務は、全国のふるさと納税の対象者約6450万人のうち、約86%が未実施のため「新たな観光需要を掘り起こせる可能性が期待できる」などとアピールした。同社の「旅先納税」は岡山県瀬戸内市が令和元年11月に初めて導入して以降、年々増加しており、現在は全国で53自治体(このうち北海道は23自治体)が採用している。

同事業に加盟している札幌市中央区のすし店「棗(なつめ)」大通ビッセ店の野呂弘貴店長は「これをきっかけに新しいお客さまを増やしたい」などと期待感を示した。

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