近畿日本ツーリスト過大請求、元支店長らに懲役3年求刑
新型コロナウイルス関連事業の業務委託費を巡る近畿日本ツーリストの過大請求事件で、大阪府東大阪市から人件費などをだまし取ったとして詐欺罪に問われた関西法人MICE支店(大阪市浪速区)の元支店長ら3人=いずれも懲戒解雇=の論告公判が31日、大阪地裁であった。検察側は懲役3年を求刑した。判決は3月15日。
起訴されたのは元支店長の森口裕(55)、元グループリーダーの臼杵賢一(58)、元営業課長の太田幹雄(55)の3被告。
検察側は論告で「新型コロナの感染拡大という国民の健康維持に危険をもたらす事態のなか、自社の利益のみを追求した利益至上主義があった」と指摘した。
3人は起訴内容を争わないとし、弁護側は「感染拡大で旅行やイベントがなくなり、会社は壊滅的な打撃を受けていた」と主張。自らの利得のためではなく、同社が東大阪市に被害弁償しているとして、執行猶予付きの判決を求めた。
起訴状などによると、森口被告らは2021年9月〜22年10月、同市からの受託業務で電話オペレーターの人数を水増しした虚偽の報告書などを市側に提出。水増し分約2億2千万円を含む計約8億9千万円を振り込ませたなどとされる。
同様の過大請求は各地で発覚した。近ツー静岡支店(静岡市)の元社員=懲戒解雇=が静岡県内の自治体からコロナ関連事業の委託費をだまし取ったとして詐欺罪に問われ、大阪地裁は16日、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。